第5話

うちのお嫁さん、全世界一愛しい。



毎日毎日、この視線を感じれて俺はなんて幸せ者なのだろう。



って、丁のことばかり考えてたら触れたくなってきた。



ので




「丁」




呼ぶと




「ハイ!!」




なんとも元気な返事がして、丁が満面の笑みでこっちに向かって走ってくる。




「釘バット!釘バット引き摺ってるからっ奥様!」




多鬼が騒いでいるが、俺は両手を広げて待つと迷いなく飛び込んできた。



可愛い嫁を抱き締めると丁が笑う。




「笑いが漏れてるっ。奥様笑い方恐っ」




多鬼が何か言ってるが聞こえない。




「すまないな。仕事ばかりで構ってやれなくて」




本当はずっとこうしていたいが、鬼の主としてやらなければならないことが山のようにある。




「何を仰います旦那様!!わたくしは旦那様のお姿を見れるだけでも幸せです!!」




嬉しい言葉をくれる。




「丁」




見れるだけでいいのか?


俺は触れていたいぞ。




「だから旦那様は気兼ねなくお仕事に集中して下さい。他のことはわたくしに任せて」




丁が花のように愛らしく微笑む。



優しい妻。



その笑顔に俺も自然と笑顔になる。




「ありがとう、丁」




少しでも丁との時間を作れるように頑張るか。



と、その前に




「逃げとけ、多鬼」



「うぇ……?」




釘バットの餌食になるぞ。



何やら釘バットが多鬼に向かってる。



俺は釘バットを振る丁の姿はカッコ良くて好きだが、仕事にお前は必要だ。

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