第1話

第2話

丁(ひのと)side



ああああ……っっ。



わたくしの旦那様っ。


鬼の主、刹鬼(せっき)様っ。




「ぬ」



「ぬ?」



「ぬぁぁぁぁんて、カッコいいのかしらっ」



「ぬぁんて……」



「カッコ良すぎて眩暈が……」



「奥様。大丈夫ですか?部屋で休まれますか?」



「何を言ってるの真鬼!寝てる場合ではないわ!刹鬼様のお姿をこの目にっこの目に焼き付けなければ!」



「流石です」




お仕事中なのでしょう。



多鬼と何かをお話ししながら廊下を進んでいく旦那様。




「……」



「奥様?」



「真鬼」




わたくし付きの侍女、真鬼を呼ぶ。




「はい」



「アイツちょっと近くない?刹鬼様に近づきすぎじゃない?」



「シメますか」



「後でね」



「!!」



「どうした?多鬼」



「いや……ちょっと悪寒が……」



「風邪か?仕事をしていれば治る」



「鬼っすね。あっ、鬼か」




くっ、多鬼めっ。



刹鬼様に心配してもらえるなんてっ。




「心配……」




真鬼がポツリと呟く。



羨ましいっ。




にしても……ハァ……。




わたくしの旦那様、お声すらカッコいい。



艶やかに輝く烏玉色の髪。


額より生えし一角は白く、髪の色と相まって良く映えて美しい。



鋭く切れ長の瞳は、髪と同じ烏玉色。


全てを見透すのではないかと思うほど静謐で綺麗。



セクシーすぎて鼻血が出そう……。

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