第10話  聖女って!!?

エリサの身柄は、銀の森に送られることになった。

本格的にエリサの力が危険視されたためだ。

母親のアリシアが付いていても、力を暴走させてしまう。

責任を取って、アリシアはAランク魔法使いに降格処分にされてしまった。


アリシアの銀色の外套から、深紅の外套に変わったのを見て、エリサはうな垂れてアリシアに謝った。


 ここは、三賢人の部屋である。

 エリサの度重なる暴走に、とうとう銀の森も重い腰を上げねばならなくなった。


「アリシア・フレイドル。娘から目を離さぬように。エリサーシャ・フレイドル、次に力を暴走させたら、永久に光の神殿に幽閉ですぞ」


 エリサの目線に合わせて、ギエド賢者は言ってきた。


 エリサは、ガビーーーーンである。

 どうやら、精霊を通して魔法を使った時の方が、力のが出来るようである。だが、祝福精霊の風の騎士、リカルドは頭上にはいない。

 エリサには、母のような 呪文は使えない。

 その代わり、古代レトア語も使わずに精霊を使役できるのだ。

 

 でもそれを言ってしまうと、その辺の下位の精霊と契約させられて力を削がれることになる。エリサは、それが嫌であった。

 名だ、生れた時から一緒に過ごしてきたリカルドのことを諦めていなかった。


<杞憂には及ばぬぞ、デュール谷の姫>


 突然、エリサから発せられた男の声に、賢者の部屋にいた一同は、目を丸くしてエリサを見た。


「今のは私じゃありません」


<我だ、久しいな。皆の者>


 その声に反応したのは、ロイルの長のミルドランだった。


「その声は祖神……? 彼女の中にいるのですか」


<そうだ。デュー谷の姫に我が名前の最後を教えておいたのでな>


「あなたの名前は、五つあるという言い伝えでしたね?」


<デュール谷の姫、もう口に出しても構わぬぞ。これより先はわれが、そなたの力の制御をしていく故、案ずることはない>


 エリサの身体が、ほんのりと銀色に光ったのだった。


「それで? 祖神の五つ目の名前とは何なのだ?」


 賢者たちは、エリサの言葉を待った。


「『グレシャス』よ。本人の希望で精霊みたいな形になって、私にとりついちゃったのよ~ 五つ全部知ってたらどうなるの?」


いにしえなら、何処にいようと祖神を召喚出来たでしょう……

 でも、名前は伝わってないので、出来る人物もいませんでした。そうですか……あなたに祖神の力が伝わったのであれば、ロイル家で長く誕生してない聖女の誕生かもしれません」


 


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