第9話  光の精霊

『もっと、我の名前を唱えよ』


 イリアスの声がエリサの頭の中に聞こえてきた。


「イ―リャ!?」


『教えた名前だ。そなたが呼ぶほど力が増していくだろう』


 目の前の銀色に光るものと、頭の中の声はシンクロしていた。


「あなたが『グレシャス』で神の名前の一つだというの?」


 銀色輝くものは、さらに光を増した。


『あと百回くらい呼ぶと良い。それで我は、独立したものになれる」


「はあぁ!?」


 エリサには、訳がわからない。


 だか、目の前の銀色に輝く物体は、『グレシャス』の名前をあと百回、エリサに連呼しろと言っている。

 それでどうなると言うのだ。


 エリサが躊躇っていたら、また、頭の中に声が聞こえてきた。


『我からの贈り物だ。受け取れ』


 そう言われたので、言うことを聞くことにした。


 小さく声に出して、『グレシャス』を唱えること百回!!

 銀色の光は、人型になって礼を言ってきた。


<デュール谷の姫、我を地上に繋ぎ止めてくれたこと、感謝する>


「えっ!? イ―リャは、天界に帰ったのでしょう?」


<全てを置いて帰るには、心もとなかったので、我の力の一部をそなたに授けたのだ>


「力って何よ?」


 エリサは、首をかしげる。


<光魔法だ。分からなければ、ロイル家の者に聞け。我は今から、そなたの心臓に宿ることにする>


「ちょっと~~ 何を勝手に契約してるのよ!! ごらーー!! 出てきなさい!!」


 石造りの塔の、三階部分の壁が吹き飛んだ。


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