第1章 第11話 群れの気配

 大岩の割れ目から洞穴に侵入した祥悟は、【隠形】と【気配察知】に加え【五感強化】もフル稼働させて暗い通路を進んでいく。入口から差し込む光も届かない程の奥に進んでも、祥悟の視覚は薄暗いと感じる程度で、問題なく床や壁の状態まで把握できていた。


「(夜目が利くようになったっていうより、暗視に近い感じなのか?更に進化してサーモグラフィみたいになったら嫌だな)」


 そんなことを考えつつ歩いていくと、通路の奥から反響するように複数の豚頭族オークの鳴き声(会話?)が聞こえてきた。祥悟はさっと壁に張り付き、聴覚に集中する。


「ブルァ?」


「ブモワァ」


「ブフォフォフォッ」



『(豚頭族オークの会話っぽい鳴き声が聞こえる。そういえば【自動言語理解】で翻訳されないな?レベルが上がれば理解できるようになるのかね?)』


『(それな。小鬼族ゴブリンの鳴き声もグギャグギャと何言ってるかわからないもんな。まぁ、敢えて意思の疎通を図りたい相手でもないけど。でも他国とか他種族の言語が理解出来れば良いね。分かんなかったら言葉覚えるお勉強が必要になるな)』


 祥悟は悠里の雑談を聞き流しつつ、奥の様子を窺う。


「グルルァッ」


 通路を抜けたのか、反響音交じりに聞こえていた鳴き声が遠くなった。


『(鳴き声が急に遠くなった。通路を抜けると野外か、だいぶ広い空間に出るかもしれん)』


『(了解。となると、その先は個体数が多いかもしれんね。気を付けてくれ)』


 浅いS字にうねった洞穴の通路を抜けると、そこは屋外だった。岩壁に囲まれた森のような空間が見下ろせる。


『(浅くS字にうねってた通路を抜けた。屋外だ。ぐるっと岩壁に囲まれてる。中は森のようだけど。テレビでこういう景色みたな。ギアナ高地のテーブルマウンテンにある、巨大な陥没穴?あれに似てる)』


『(なにそれ絶景か?外敵の侵入には強そうな地形だな。豚頭族オークの集落だか巣だかがあるのか?)』


 祥悟からの報告を聞きつつ、悠里も思案する。


『(ん?奥の方、樹木の少なそうなところで幾つか煙が立ってる。火事って雰囲気ではないな。何だろ……炊事か?火を通して食べる習慣がある?だとしたら巣というより集落か)』


『(豚頭族オークの食習慣?人間を捕食するとは聞いたけど、火を通す文化があるかは聞いてないな……。周囲は岩壁だよな?他にも外部への出入口に使えそうな通路はないか?)』


『(広いし岩陰や樹木も多いから分からん)』


 祥悟の回答を聞いて、悠里が顎に指を添えて考える。


『(他の逃げ道がない様子なら袋のネズミともいえるが……。とりあえず戻ってきて)』


『(偵察に行かなくて良いのか?)』


『(豚頭族オークに炊事の文化があるのが普通なのか、分からない。もしかしたら上位種が居る影響かもしれない。その場合、上位種の豚頭族オークの強さが食人鬼族オーガより強かったらヤバいと思う)』


『確かに)』


『(一度ギルドに報告して、これがイレギュラーなのか一般的なことなのか、相談してからにしよう)』


『(了解。それじゃそっち戻るよ)』



◆◆◆◆



「っていう感じらしい。なので王都に帰ったらギルドに報告しようかと思う」


 悠里は祥悟とのやり取りで得た情報と判断を湊に共有した。


「分かったわ。ゲームオーバーでコンティニューやリテイクが出来る訳じゃないものね」


「そういうこと」


 悠里からの状況説明が終わって湊も納得したところで、洞穴から祥悟が戻ってきた。悠里と湊は隠れていた木陰から出て祥悟を迎えた。


「ただいま」


「「おかえり」」


「祥悟の報告内容の件は片倉に伝えておいた」


「そうか、わかった。陥没穴の森に行くかは別として、岩壁の上から観察してみるくらいはしておかないか?」


 祥悟の誘いに、悠里と湊は頷いた。


「そうだな。外からでも様子を見ておくか」


 3人は祥悟を先頭にして、上り坂を歩いていく。手にした大鉈で藪を払いつつ先に進んでいくと、やがて岩壁の縁へと辿り着いた。


「……すごい、ほんとうにギアナ高地の陥没穴みたいなのね」


 湊が感動の声をあげ、悠里も追随する。


「そうだな。こういう絶景を見れると、探索者シーカーやってるって感じがするね」


 2人が景色に意識を取られているところを、祥悟が指差しつつ言葉を挟んだ。


「ほら、あっち側の岩壁寄りのあたり。炊事っぽい煙がいくつか上ってるだろ?」


 祥悟の指差した先に視線を移動させると、確かに人為的な煙が上がっている様子が確認できた。


「確かに森林火災って雰囲気じゃないな。あの煙が炊事かどうかはまでは分からないけれど」


「うん。これだけ特徴的な地形なんだからギルドも知ってる場所かもしれないし、報告はし易いかもね」


 3人は岩壁上からの陥没穴の確認を終え、その穴を迂回するように移動してから陥没穴から離れて坂を下り始めた。いつも通り先頭を祥悟が先行して歩いていく。


「さっきの場所に群れがあるのなら、他にも食料調達係の豚頭族オークが出歩いていそうなものだけど……。意外と見かけないな?」



「俺の【気配察知】にはかかってない。念のため、悠里と片倉さんも自分でも索敵しながら行動してくれよ」


 何度目かの祥悟の念押しに頷き返す。


 悠里たち3人は≪メルカドの街≫から馬車で≪王都エル・ラジッド≫に移送されていた頃から、【気配察知】、【プラーナ操作】、【身体強化】、【魔力強化】、【仙氣功】、【空間魔法】、【遅滞世界】等、各自が能力をひたすら繰り返し修練を積んでききている。

 初心者合宿中の間も森歩きしながら常に能力を繰り返し使用するように訓練を積んできた結果、≪初心者≫から≪下級≫程度が相手なら、十分通じるだけの索敵能力を得ていた。


 しばらく移動を続けていると、祥悟の索敵に敵性生物の気配が掛かった。祥悟は見つからないように木陰に身を潜めながら目視で確認し、ハンドサインで止まれの合図を送っていったん悠里達のところまで戻ってきた。


「坂下に向かって11時の方角。豚頭族オークの集団。普通の豚頭族オークの気配が6匹と、強い気配が2匹で計8匹いる」


 豚頭族オーク達がいた方向を指しながら祥悟が報告する。


「強い気配?食人鬼族オーガ比較でいうと?」


 祥悟の報告に眉根を寄せた悠里が訊く。


食人鬼族オーガと比べたら全然弱い。けど今までの豚頭族オークに比べると頭抜けて強い。上級豚頭族ハイ・オークかもしれないな」


 祥悟の報告内容について思案する。

 初心者合宿の実技では、豚頭族オークは一般的な強さの個体しか相手にしなかった。これらの通常種は便宜上、持っている武器の種類で分類される。

 棍棒や槍、鉈や剣等の拾った武器を持っただけの兵士ソルジャー、片手武器と楯を持った戦士ファイター、弓矢を使う弓兵アーチャー等が該当する。


 座学で学んだ豚頭族オークの上位種、上級豚頭族ハイ・オークは、通常種の豚頭族オークと比べてずっと頭が良い。


 そのため通常種の豚頭族オークを率いて指揮官コマンダーをしている事が多く、武装も大戦斧グレート・アクス両手剣グレート・ソードなどの通常種とは格の違う大型の武器を好み、戦棍ウォー・メイス長剣ロング・ソード片手戦斧バトル・アクスなどの片手武器と大楯シールドを持った個体もいる。更に、通常種には居ない魔法師メイジタイプが存在している。


 上級豚頭族ハイ・オークの中で更に細かく階級分けされているらしいが、通常種のオークより頭一つ大きければ上級豚頭族ハイ・オークと見做している。


 上級豚頭族ハイ・オークより更に大きな体躯を持った個体に、将軍ジェネラルキングエンペラーなどの更なる上位の個体がいる。そういった上位個体が現れると群れの規模も非常に大きくなり、統率されて討伐難易度がぐんと上がる。それらが確認された時には、大がかりな討伐隊が組まれたり、騎士団が対応する案件になったりもする程だ。


食人鬼族オーガ未満の上級豚頭族ハイ・オークが2匹と、通常種が6匹。どうかな?俺はいけそうな気がするんだけど」


 悠里が湊に意見を訊いた。


「数は3倍近いけど、食人鬼族オーガより弱いのが2匹と通常種の豚頭族オークが6匹だったら、十分いけそうな気がするかな……。勿論、立ち回りが重要だけれど」


 湊の意見を訊いて悠里は頷く。祥悟は湊に対策について確認を求めた。


「立ち回りだけど。“弱い個体から先に潰していく”、“一度に1匹ずつ相手できるように位置取りを優先する”、“挟み撃ちされないように背中をフォローしあう”、“飛び道具や魔法師メイジがいたら出来るだけ優先して潰す”。こんな感じで良いのか?」


「うん、それだけ押さえて行動できれば、問題なく倒せると思う」


 この3人パーティでは、湊の戦闘感覚が最も信頼できる。彼女が油断しなければいけると判断するのなら、是非もない。


「あ、橋本君。一斉に突撃かける時には、槍を使ってもらえる?乱戦になれば双剣に切り替えてもいいけど、なるべく敵の迎撃態勢が整う前に槍で突き殺してしまった方が効率的だと思うの」


「うっす、槍使うわ。チャージだっけ?突撃するなら腕で突き出すというよりか、槍を両手で固定して体ごとぶつかりに行く感じで良かったよな?」


「うん、それで十分。ただ刺さりすぎると抜くのが大変だから、柄まで貫通する様な刺し過ぎに気を付けて。穂先にまとわりついてすぐ抜けなかったら、蹴り飛ばして抜くとか冷静に対処ね」


「了解。俺は雑魚狙いを優先するから、上級豚頭族ハイ・オークの方が前に出てきたら2人に任せるよ」


 そういうと祥悟は【異空間収納】からギルドからの借り物の大身槍を取り出し、突きや斬り払い、チャージの型と動きを確かめる。


「……よし、大丈夫。いけるいける」

 一通り動きを確かめ終わると穂先を低くして仲間を突かない位置取りで横並びになる。


「11時の方角と言ってたわね。そこの根元から二股に分かれている樹の方向に行けば居ると思うけど。とりあえず身を低くして様子を見て、目視できたら一気に駆け出すわよ?」


「「了解」」


 湊の指揮で【隠形】しつつ坂を下って行き、木陰から覗き込むようにして周囲を警戒する。

 豚頭族オークの集団を目視で確認がとれたところで、湊が小声で祥悟と悠里に声をかけた。


豚頭族オーク8匹居たわね。想定通り。頭一つ抜けて大きいのが2匹でこっちも想定通り」


 湊が戦力分析をはじめる。


上級豚頭族ハイ・オークらしき2匹は、魔法師メイジらしき杖持ちと大戦斧グレート・アクス持ちか。通常種は弓持ち3匹と槍持ち2匹、1匹だけ片手戦斧バトル・アクスと大楯で武装したのがいるな」


 豚頭族オークの集団の様子を窺いつつ、悠里も見たままの様子を口にする。それを訊いていた祥悟が優先度について確認を入れた。


「弓兵3匹を先手で倒して、次に槍持ち。杖持った魔法師メイジらしき奴を片倉と悠里が相手をする。その間に俺が楯持ちの相手をしておき、最後に大戦斧グレート・アクス持ちを全員で?」


 祥悟の戦闘の流れの想定に湊が頷いた。


「上手くいけばそういう流れが理想ね。でも相手の出方次第だから、ほとんどアドリブになると思うわよ?」


大戦斧グレート・アクス持ちが最後まで待ってくれるとは思えないし。前に出てくるより先にどれだけ他を倒せるかだな。2人とも【プラーナ操作】や【身体強化】はオッケー?」


「大丈夫。何なら【気配察知】と【隠形】も重ねてるぜ」


「私も大丈夫」


「それじゃ、側面からいきますか」


 3人は木陰から木陰へと【隠形】を駆使して慎重に近づいていく。集団の横腹、若干後方側の木陰で頷き合うと悠里がハンドサインで襲撃開始を合図し、3人は槍を両手持ちして構え、一気に踊りかかった。


 突然の人間ニンゲンの出現に虚を突かれ、豚頭族オーク達が浮足立つ。


 不意討ちによる豚頭族オーク達が混乱から立ち直る前に、速やかに弓持ちの通常種3匹の胸 に一突きを入れ、素早く引き抜く。豚頭族オーク達の鎧とも服とも言い難い粗末な毛皮を大身槍の穂先が貫いて、胸骨を砕きながら心臓あるいはその周辺の血管や肺を傷つけた。


 初心者合宿でも散々経験したこの手応えは、今でも不快さしかない。生き物の命を奪う行為には慣れたが、それを心地よいと感じるようにはなりたくないものだと悠里は思う。


 身体ごと引いて穂先を抜くと、素早く次のターゲットへと穂先を向ける。

 

「グルルァ!」


「ブルアァ!グルフォ!」


 一際体躯の良い2頭が鳴き声を上げると、通常種達が落ち着きを取り戻したのか速やかに迎撃態勢をとる。大楯と片手戦斧バトル・アクスとで武装した通常種が前に出て壁役のように立ち塞がり、大楯持ちの背後に回った槍持ち2匹が大楯持ちの背後から穂先を前方へと向ける。


 上級豚頭族ハイ・オークと思われる2匹は槍持ちの更に背後に移動し、大戦斧グレート・アクス持ちが杖持ちの前に立ちふさがった。


「(くっ杖持ちを先に不意討ちしとくべきだったか)」


 悠里と湊の次のターゲットは杖持ちの上級豚頭族ハイ・オークであったが、敵の隊形変更によって最奥に下がってしまった。


「(なら通常種から削って回り込む!)」


 悠里が大楯持ちの豚頭族オークに正面から突っ込むと、手にした大身槍の石突側を下段から上段へと抜けるように跳ね上げる。前方に掲げられていた大楯が下から叩き上げられ、僅かにバランスを崩す。

 大楯がバランスを崩したところへ、祥悟が悠里の左斜め後方から突撃して、大楯持ちの脇腹から穂先を刺し込んだ。穂先を横に薙ぎ、傷を広げながら槍の自由を取り戻す。


「よしッ」


 祥悟が思わず喝采をあげる。

 これで通常種の残りは槍持ちが2匹。


 湊が悠里の右後方から前へと出ると豚頭族オークの槍を巻き取るように跳ね上げ、無防備になった胸部へと大身槍を突きこんだ。


 これで通常種は残り1匹。


 その時、湊がチリリと魔力が熾る気配を感じ、後方の杖持ちに視線をやると掲げた杖の先に【岩槍】の魔法が完成していた。


「杖持ち、【岩槍】くるよ!」


 湊が叫び、貫いていた豚頭族オークで射線を塞ぎ、肉の楯にする。


 一方、悠里は祥悟を狙って槍を突き出していた豚頭族オークに、脇から穂先を突き込んで仕留めていた。血を吐き倒れ込もうとする豚頭族オークを槍で無理矢理保持し、そこに祥悟も大身槍を突き込んで豚頭族オークの転倒を防いで、2人掛かりで肉の楯にして射線を潰した。


ギュンッ!


 杖持ちの上級豚頭族ハイ・オークが【岩槍】を発射した。大質量で鋭利な、物理的な破壊力を持つ【岩槍】が飛び、悠里と祥悟が2人掛かりで持ち上げていた豚頭族オークに激突する。


ゴパンッ!


【岩槍】の鋭利な先端が分厚い豚頭族オークの肉楯にあたり、その速度と質量によって貫かれていく。


「ッ離脱!!」


 悠里は咄嗟に離脱を指示して祥悟が大身槍を手放して射線から横に抜けたのを確認し、自身も大身槍を手放して射線から外れるように後退した。

 悠里と祥悟の支えを失った豚頭族オークはそのまま背中から貫通した【岩槍】の勢いのままに転がされていった。


 豚頭族オークの杖持ちが第2射の準備に入るのがみえる。

 悠里と祥悟は【岩槍】で貫かれて吹っ飛んでいく豚頭族オークに、大身槍を残したままである。一瞬大身槍の回収を考えたが、肉楯にしていた豚頭族オークを蹴り飛ばして穂先の自由を取り戻した湊が、杖持ちへと向かっていくのを確認した。


「(槍を拾ってくる時間が惜しいッ!)」


 悠里は腰に佩いた長剣を抜いて走る。後ろから、祥悟も小剣を二刀流で持ってついてくる。


「ブルァッ!!」


 先頭を行く湊が杖持ちの上級豚頭族ハイ・オーク狙いなのを察した大戦斧グレート・アクス持ちの上級豚頭族ハイ・オークが前に出て立ち塞がり、湊の大身槍の穂先を大戦斧グレート・アクスで打ち払って接近を防ぐ。


 湊の前に移動した大戦斧グレート・アクス上級豚頭族ハイ・オークの横を、悠里が弧を描くように回り込んで杖持ち上級豚頭族ハイ・オークに迫った。

 その勢いのまま両手で保持した長剣を肋骨の間を抜けるようにして刺し込んだ。頭上に完成しつつあった【岩槍】は魔力の供給が途絶えたことで、頭上から落下してくる。


 通常、未完成の魔法が途絶えた場合の挙動は、立ち消える。しかし質量を以って形成される岩や氷の魔法の場合は、制御を失った時点で出来上がった質量のままで放り出されることになる。つまり、多くの場合は落下する。


 悠里は杖持ちから剣を引き抜きつつ後ろ飛びに間合いをとり、何とか【岩槍】の落下に巻き込まれずに距離をとった。


 残っている大戦斧グレート・アクス上級豚頭族ハイ・オークの方をみると、祥悟が脚部に小剣を1振り突き立て、もう1振りを下っ腹に突き込んでいた。バランスを崩して力の乗っていない大戦斧グレート・アクスを湊が見送った直後、上級豚頭族ハイ・オークの首筋に穂先を突き立て、横薙ぎに払い、血の華が噴出していた。


 倒れ込んでいく上級豚頭族ハイ・オークをみて決着がついたことを理解し、息を整えながら祥悟が口を開く。


「おつかれさん。これって上級豚頭族ハイ・オークだよな?豚頭族オークより若干硬いくらいだったぞ?」


「そうね。杖持ちが居たんだから普通の豚頭族オークってことはないと思うけれど……」


「祥悟、武器の回収忘れるなよ。死体は持って帰るぞ」


 【岩槍】で貫かれて吹っ飛んでいた豚頭族オークに寄り、大身槍2本を回収して1本を祥悟に石突を向けて渡す。祥悟は悠里から大身槍を受け取ると傍の樹に立て掛けて、2振りの小剣を回収して【清浄】を掛け、身体や武器の血糊を清めていく。。

 悠里や湊の方も、武器と返り血を被った身体とを【清浄】している。


 散らかった武装の回収と清浄化を済ませると、3人で手分けして豚頭族オーク達の死体や持っていた武装なども【異空間収納】に収めていく。


上級豚頭族ハイ・オークだからと思って警戒してたけれど。想像する程には強くはなかったかな?」


豚頭族オーク将軍ジェネラルキングエンペラーと、あれこれ上位種の種類も多いらしいじゃない?今回はたまたま弱い方だったと思っておいた方が良いよ?」


「だな。次に当たる上級豚頭族ハイ・オークがもっと強かったら、舐めて掛かって返り討ちにあいそうだ」


 悠里の感想に湊と祥悟も頷きつつも慢心せず、意識を新たに締め直す。


 血の臭いに釣られた獣や魔物がやってくる前にと、戦いの場に【洗浄】をかけて血糊を洗い流し、【消臭】も掛けて後始末が終わらせると再び移動を開始した。

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