第12話 修羅場?

◆タコマリウス王城

ケイ(敬) 視点


あ、第一王子、やっと帰ってきたんだ、って、なんで第二王子を睨んでンだ?



「あ、兄上!?」

「何故にお前が巫女と共にいる。しかも自身の部屋に招き入れるなどー」

「あ、兄上、俺も巫女の夫になるんだ!」

「何だと?」



と、そこで何で二人してオレに振り向く!?

いやいやオレも訳わかんねー状況で、勝手にオレに話し振られても訳わかんねーし、正直話しの経緯すら訳わかんねーんだから、ああっもう、なんもかんも訳わかんねー!!



「ああっ第二王子はオレのと、友達なんだ」

「「ともだち???」」



って、何でソコ、二人でハモる??

そもそも何で王子は怒ってんだ?



「巫女、ともだちとは友達の事か?ならば何故に第二王子の寝室に二人でいる?」

「巫女、俺は友達じゃ嫌だ!」



待てや!

オレ、何で二人から攻められてる??

何てこうなった?

いきなり回りがアウェイなんだが。

は、オレが悪くなってんじゃん?!



「二人とも。ちょっと落ち着こう?第一王子、ちゃんと後で説明するから。それと第二王子、今は友達みたいな関係って事。だって今日会ったばかりなんだからな」



お、二人ともキョトンとして顔を見合わせた。

オレ、ナイス。

取り敢えず場を収める事に成功セリ。



「巫女、それでも貴女は既に私の既婚者だ。それが私の同意なく独身男性の寝室を訪れるのはどうかと思うのだが」

「巫女、俺は友達レベルなのか?俺が夫じゃ不満なのか?ぐすっ」



場が収まってねーっ?!

むしろ悪化してやがる!?

マジ頭痛てーっ!


それと第二王子、泣くんじゃねーっ!

子供か!


あ、子供だった。

だが歳に似合わぬ筋肉質でデカイし、身長もオレより10センチは高い(多分165はある?)。

だからオレからしたら、どうしても大人に見えて厄介だ。

これも国の筋肉政策の弊害だな、たくっ!



「はあ、と▪に▪か▪く個別に後で説明するから今は二人とも出てってくれ!疲れてんだ。オレは今から寝る!部屋に入ってくんな!」



オレは、まだ物言いたげな二人の背中を押して部屋の外に押し出すと、そのままベッドに飛び込んだ。

ガキが《俺の寝室》とか言ってたが知るか。

不法占拠でも寝たもんの勝ちだ。

何人もココに踏み込ませねーっ!!





◆◇◆




チュンチュンチュン



「はい、朝ですよーっ巫女さま。起きる時間です」

「うーん、あと10っ分………」

「駄目ですよ、巫女さま。昨日は夕飯も召し上がらずにお眠りでしょう?第一王子もモンスター討伐から戻っているのだし、朝食は皆さん一緒なんですから遅れると待たせる事になりますよ」

バサッ

「は?さ、寒い!?」



ふわふわと気持ち良く寝てたら、あの着ぐるみメイドに布団を取り上げられた。

鬼畜かぁ!?



「ん?待たせる?」

「はい」

「なにを」

「朝食は皆さんご一緒です。ですが、巫女さまが来るまで朝食は始まりません」

「あ、うう、それはヤバい。あれっ?ココは?」

「第二王子の寝室です」

「うわっ、そうだった。オレ、あいつの寝室を占拠してたんだ。何朝って?次の日じゃないか。じゃあ第二王子は何処で寝たんだ?」

「分かりかねます」

「そうだろうな………」



一応着ぐるみはオレ専属のメイド。

他の事には関わらないか。

まあ、デカイ城なんだから寝室なんかいっぱいあるだろ。

適当にどっかで寝たんだと思う。



ブルっ

「!??」

「巫女さま、どうされました?」

「そ、その、寒いせいか、急に、その」

「おトイレでしょうか」

コクコクコクッ(頷き)



やべぇ、失念してたけど異世界4日目、初めてのトイレ。

初めてのトイレ?!

うわあああ?

初めてのトイレって、どうすんだオレ!?



「コチラがおトイレです」

「……………………」

「巫女さま?」

「……………………」



どうするどうするどうするオレ!?

どうやって、すればいいんだ???

冷や汗がハンパねーっ!



「………その、シカタ…………」

「巫女さま、何か?」



ダ━━━━━━っ!

こんな時、何て言やあいいんだ?

やり方が分からないって言うのか???

誰か教えてくれ!



「………………」

「あの巫女さま?真っ赤になられて、どこかお加減でもお悪いのではありませんか?」

「………シカタが分からない」

「しかた?」



があっ、話しづれーっ!?

もう、どうにでもなれ!!!



「う、オシッコの仕方が分かんないんだ!」

「まあ《オシッコ》の仕方が分からないと」

「………連呼しないでくれる?」



その後、薄笑いの着ぐるみにナントカカントカ教えてもらい事なきを得た。

恥ずかしさ、ハンパなかった。

これは墓場まで持っていきたい。


あと、ウサギの薄笑いって何か怖!

動物って表情筋が見えにくいのに口端しが上がるのって意外と不気味。


ついでに女の神秘を垣間見た。

やっぱりオレ、女だったわ。

今さらながらに実感し、ガッカリして、諦めた。

もう、慣れるしかねーっ!


そんで、もう一つの女の神秘を実感した。

転生4日目で初めて尿意を感じた事だ。

やっぱり女子は膀胱がデカイのか?

それとも転生して作られた体だからか?

ハッキリ言って謎だ。


そう言えば狭間の女神が言ってたけど、オレの身体、この世界の神が作ったんだよな?

つまりこの身体は人造体?いや、神だから神造体か。

どーゆうモデルからこの美少女を作ったんだ?

この世界の神にも会ってないし、色々と謎が尽きねー。


因みに異世界のトイレは一応、水洗式というか、絶えず水が流れてた。

これって、アレか?

城内に揚水して、各部屋に流してんだよな。

簡易水洗システムみたいだね。

一応、水道みたいのもあるし、文化レベル中世でもオーパーツ的に飛び抜けてるものもある。

まだ未確認だけど、魔法みたいなものもあるんだと思う。

王子光ってたし、オレ自身もドーピング▪チートだし?

もっと言うと、牛男だって遺伝子組み換え操作で生み出せるか分からないもんだ。


モンスターがいて魔王がいる。

やっぱりオレ、異世界にいるんだなぁ。


あと、トイレの便器は穴空きの壺。

紙は布でした。

いわゆる綿花で作ったコットン?が、何枚も置いてあった。

拭いたら別の蓋付き壺に入れておく。

それも使い捨て?って、贅沢ーっ。

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