第13話 朝食
◆タコマリウス王城
テラスホール
ケイ(敬)視点
「巫女さま、こちらてございます」
「はいよ」
取り敢えず着ぐるみメイドが用意した新しい巫女服に着替えたオレ。
時間が押してるとし、そそくさと整えて朝食の場に向かう。
今まで朝食は王子の部屋でしかしてなかったんだが、今回は大人数らしくて広い場所を用意したそうだ。
何かメンドクサイ。
「巫女さまは言葉使いが男ぽいですね」
「そう?根が男だからかもね」
元男だからな。
着ぐるみは根がウサギぽい、になる?
「実は宰相様から近々、巫女さまの教育係が来られると聞いておりまして本日はその顔合わせもあるのかと」
「教育係ぃ?」
教育係って何の教育?
だってコレ地たがら。
直らんから要らんって。
「実は来月、舞踏会がありまして、各国から高貴な方々がお城を訪問なさいます。それに間に合わせるよう、教育をなさるのではないかと」
「要らんなぁ。第一オレ、巫女服じゃん。ドレスルームも同じ巫女服でいっぱいじゃん。舞踏会、巫女服じゃ踊れないでしょ」
だから何で巫女専用ドレスルーム、巫女服でいっぱいなんだよ?
先日案内されたドレスルーム、1LDKくらいあるのに、手前から奥まで白赤の巫女服で埋まってるじゃん?!
制服みたいで楽だけどさ。
だけど、着た切り雀みたいに思われんのも嫌だぞ。
「すみません、巫女さまはコスチュームが決まってますので。でも大丈夫です。他国でも巫女さまのコスチュームは公認ですので」
「公認ってオレ、この巫女姿がお決まりって事で皆に周知されてるの?その前にコスチュームって何だよ?ようはオレって役柄的にこの姿固定って事じゃん?他の服を着ちゃ駄目なヤツじゃん!」
「分かりやすいじゃないですか」
「それだけなの!?」
何なんだよ、この世界の《巫女観》!
巫女は巫女服着てればオッケーってか?
よく分かんねーっ!
「着きました、コチラでございます」
「ほぇ~っ?!」
スゲーな。
天井はガラスで覆われてて、壁もガラスとステンドグラス。
中央に20人くらい座れるデカイ細長いテーブルがあって、上座から王様と王子達が座ってる。
部屋全体は温室を兼ねていて、壁際は全部観葉植物?が沢山鉢植えで置いてある。
しかも部屋が城の庭園側に張り出していて、天壁も開く様になってるみたい。
確かガラスはこの世界では貴重品だって聞いてた。
つまり贅沢の極みみたいな部屋って事だ。
王様の自慢の一室かな?
そんでチビッ子長ヒゲ王様、一人だけ座高が高いイスで皆と同じ高さをキープと。
それと前から気づいてたけど、チビッ子の頭の王冠でかすぎじゃね?
いや、チビッ子の頭が小さいのか。
なんか、バケツ乗っけてるみたいなんだよな。
あと第一王子、何故か不機嫌そうなんだが何かあったのか?
そんで第二王子、ガキっぽく立ち上がってオレにニコニコ手を振ってお出迎え。
だいぶ馴れ馴れしく懐いたな。
子供だから仕方ないってとこか。
へ!?
キンニクメリーがドレス着てる!?
ビックリした。
あの第一王女でキンニクメリー称号持ちの姫が軍服じゃなくドレス……。
肩幅と胸囲がパンパンだな。
むむむ、プロレスラーがドレス着たらあんな感じだよな。
うん、姫はヤッパ軍服でナットク。
「巫女、待っておったぞい。ソコに座るだぞい」
「あ、はい」
えー、着ぐるみから変わったチョーネクタイ執事の誘導でオレはお子ちゃま第二王子の隣に誘導されたぞ?
つまり、ぞいぞい王様と第二王子に挟まれる形で座らされんのか。
第一王子を正面に見る形で。
第一王子側は空いてるのに??
「巫女、早く座るのだぞい。何を立ち尽くしておるのだぞい?」
「そうだぜ巫女。早く座ってくれ。腹が減って死にそうなんだ」
「はしたないわ第二王子。王族なんですからちゃんと我慢しなさい」
「わ、分かってるって、姉ちゃん」
姉ちゃんか。
姉弟仲いいな。
執事がイスを引いて待っている。
え、本当にいいのかここで??
一応オレ、不本意だが第一王子の、つ、つ、パートナーなんだよな?(ゼハゼハ)
なら、アッチ側の第一王子の隣が本来の席じゃね?
第一王子はどう思ってんだ?
って見たら、眉間にシワ寄せてオレを凝視してんじゃん!?
え、オレが悪いの?
間違ってない、この座位置!?
「早う座らせよ、執事」
「は!失礼、巫女さま」
「はい?わっ!!?」ドスンッ
うわっ、無理やり肩押さえて座らせられたぁ!?
何なんだよ、強引だなぁ。
あ、第一王子が執事を睨んでる?
執事はそそくさと冷や汗かいて部屋隅に控えた。
何だよ、この雰囲気?
でも王様の指示だから仕方ななくない?
まあ、座ってしまったし皆をこれ以上待たせらんないのも確かだし、この状況の理由は後で着ぐるみに聞くか。
って第二王子、オレの髪をひッ張るな!
子供か!
あ、子供だ。
「それでは皆揃ったな。ではまず食事を始めようだぞい」
皆揃った?
あれ?王様、隣空いてますよ。
王妃様はどうしました?
王位継承権持ちはキンニクメリー称号の王妃様ですよね。
そういえば王妃様は一度も見た事はありませんね。
あと第一王子のお父さんは???
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます