第一〇話 宇宙店主、今地球日のシバシバ。一〇月三〇日二〇二四年

 砂埃が激しく舞う地球上、某寂れつつあるメトロポリスシティ。

 自称都会っ子のヤサグレタ地球人達が、皆サングラスをかけて、乞食や麻薬中毒地球者共が用を足した後の、小便と大便の仄かな香りに満ちた歩道を行き交う。


 宇宙店主の“サングラス観”とは、

 其の一)自意識過剰。

 其の二)御目目が、太陽の押し付けがましい陽光のお陰でチト眩しき!


 だが然し、今地球日は其れ程までに太陽光はキツい訳でも無い。

 (ホンットに奴等って、ナルシスト。だねぇ..)一瞥くれて、街を行く宇宙店主。



 今地球朝の事。

 今地球日はチト鬱が厳しいみたい。鬱がキツイと、他地球人の御目目と、コノ宇宙店主の御目目を合わせたくない。合わせられない、眼力で負けてしまうからだ。

「だからコノ宇宙店主は、レイバン製サングラスの『ウェイファーラー』を掛けて居りました。」

 (ねぇねぇねぇ、宇宙店主ぅ?あのさぁ、鬱何だったらさ、家ん中に閉じ籠ってたら良いジャンよ?)


「勿論そうしたいのはコノ宇宙店主、山々!」

 だけどオモテにも駆け出したいッ!

 何故ならば..その時の宇宙店主の精神状態が『激躁鬱状態』だったからですね。

「本当は外界に足を踏み入れたく無いんだけど、激躁のせいで踏み入れたくもある、って云う複雑な思いも在んのよ。」


 レイバンのサングラス『ウェイファーラー』を掛けて、腐り切った死の街に繰り出す。ツイ最地球近もコノ街の保健局の最高責任者が、地元の飲食店経験者から賄賂を貰っていた事が露呈。捕まったばかり。一五〇〇〇〇〇〇地球円を超える年収を頂いてる公務員でも、更にお金が欲しい。何故だ?


 只、闇雲に “サングラス”とだけしか描きたくも無いし、“レイバンのサングラス”とだけしか、限定した情報を地球上に配布したくも無い。

 其の地球日の宇宙店主、

「レイバンの。サングラスの。ウェイファーラー。を掛けて居りました。」

 宇宙店主には責任が在る。

 地球人読者の皆さんは、この宇宙店主の宇宙人となりを知りたくて、宇宙店主の深層世界と同期したくて、コノ『宇宙店主の地球散歩、シバシバ。』を購読している筈。その熱量に対して、この宇宙店主も其れなりの覚悟で描写をするのが礼儀。

 人気地球人作家の『日記本(エッセイ)』の用途とは、そもそもが此の様な疑似体験が出来る為に存在しているのだ。

 合法活字麻薬。

「呉々も読書のし過ぎに御注意を。」

 と云うか、読書何かしちゃ駄目。

「よっぽど自己意識がシッカリしてないと、作者に洗脳されてしまうから。」



 兎に角だ。

 この宇宙店主、地球の道端の上で鳥肌が立った位に、衝撃的な真実に巡り合わせた。

 (何で今迄ずっとレイバン製ウェイファーラーのサングラスをしていて、全く気が付かなかったんだろう?..)


 地球上を闊歩する地球人。

 其の中でも日差しが強い訳でも無いのに、サングラスを掛けて居る地球人。

「彼等は(も)鬱状態だったんだ..」

 

 

 ——この原稿用紙の場をお借りして、サングラス地球人の皆様に謝罪をさせて頂きます。

「今回は..どうも皆様の事を、実は深層世界の中で小馬鹿にしていて、誠に申し訳御座いませんでしたあッ!」


 ペコリの描写


 パシャパシャパシャ パシパシパシ!   パシャパシャパシャ パシャパシャ

「あのォ、宇宙店主ぅ?もっと顔を上げて、サングラスを外して下さいよぉッ?」


 パシャパシャ、パシャパシャ! パシパシパシャ! パシ パシャパシ パシャ!「宇宙店主さぁん!貴方って本当に地球人差別主義者何ですかぁ?」


 パシャパシャ!パシパシ  パシャパシ!   パシパシパシャパシパシ!

 パシャ!   パシャ     パシャ!パシパシ  パシャパシ! 

 「コレは、宇宙店主からの皆様への御願いです。鬱状態の其処のアナタ。鬱は疾患などでは在りません。アナタの生まれ持った地球人人格です。胸を張って地球人人生を生き抜いて下さい!」

 ヤブ精神科医から「ウぅぅぅんとねぇ..チミ、鬱病だね。」と告白された、鬱病認定のお墨付きを頂いたアナタ。

 「大丈夫です。」

『鬱』と云う地球漢字と『病』と云う地球漢字。実は仲がとっても悪し。肩寄せ合う事など決して在りません。磁石のN極とN極の様な歪な関係です。

 そしてコレは『うつ』に変わろうが、『ウツ』に変わろうが、『ビョウ』に変わろうが、『びょう』に変わろうが効果は一緒。

『鬱』はアナタの個性です。

『鬱』はアナタの味方です。

『鬱』は正義です。


 パシャパシャ  パシャ パシパシパシ! パシャパシャ  パシャパシャ!

「あのォ、宇宙店主ぅ?貴方の作品って、糞ジジイとか糞ババアとか死ねとか、諸々の暴言。あれって本当に本心から来るモノですかぁ?」


 パシャパシャ、パシャパシャ! パシパシパシャ!  パシ パシャパシ パシャ!

「宇宙店主さぁん!貴方って、歯に衣を着せない描写が満載ですけど、ソノ時の衣って“パン粉”で揚げて居るんですかぁ?其れともパン屋さんに行って、食パンを買って来て、其れをチャンと御手手で解してから、歯に塗して居るんですかぁ?」


    パシャパシャ!  パシパシ   パシャパシ!

 パシパシパシャパシパシ   パシャ!   パシャパシャ パシパシ!

「宜しいですか?鬱状態の皆様。コレから、若しも道端でサングラスを掛けた地球人の方と、擦れ違うとしますよね?そして其の地球日、アナタもタマタマ偶然、『激鬱状態』。そのサングラスの方も『鬱状態』なのです。アナタの仲間、同士、第一次深層世界鬱戦争の激戦の中で戦っている戦友ですね。」

「パシっ!」

 この様に、擦れ違い様に“ハイタッチ”を交わして下さい。そうすると、自身の心の中に軽い変化が芽生えます。

 (ア。なんだぁ、鬱ってソンナ云う程、悪いモンでも無いじゃん!)


 では。



 宇宙店主


 パシャパシャパシャ パシパシパシ!

「あのォ、宇宙店主ぅ?もっと顔を上げて、サングラスを外して下さいよぉッ?」

 パシャパシャ、パシャパシャ! パシパシパシャ!  パシ パシャパシ パシャ!

「宇宙店主さぁん!貴方って本当は人種差別主義者何ですかぁ?何か、偶に他の作家さんとかが絶対使わない単語とか出て来てるしィ。」


   パシ  パシャパシャ!パシパシ     パシャパシ!

           パシパシパシャパシパシ! パシャパシャ!パシパシ  パシャパシ!

 パシャ!パシャパシャ!   パシパシ   パシャパシ!

                  パシャパシャパシャ!

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