第12話 このムスメして、このハハあり。

 エっ?

「私は実はアパートメントに、一宇宙人暮らしだと思ってたって?」


 それはアナタ達、地球人民族の勝手な想像でしょ?第一、貧困なのよ発想が。てか全て。

 だから私達、宇宙人民族達から小馬鹿にされんのよ、地球人民族って。



「ただいまあ、今帰ったぁ」

「あら、ミユキちゃん?ついさっき出て行った思ってたら、もう帰って来たの?相変わらず貴女ったら安定の速さねェ。ウフフ..確かに仕事って嫌だモンね!」

「もぉう、そんなに褒めないでよッ、お母さんったらあ!どうすんの?私がソノ気になって、毎宇宙日、“行ってきまあぁす!”って出て行って、光速の速さで、“ただいまあ!”って帰って来たら?物語が進まないジャン!」

「..ウフフ、ヤダ!もうミユキちゃんったら、お母さんの若い頃にソックリ。お母さんもね、昔“お仕事に行って来まーす。”なんて言っときながら、お家の玄関から出て、其のママお家の廻りをグルッて一周して、“ただいまあっ!”って、良くやってたわ!何かねえ、其の宇宙日の気分が乗った時には、お母さん調子に乗って、お家の廻りを九〇〇億回とかしちゃうの。だからモウそんな時はクッタクッタ!其のママお布団の上で、六京年位は平気でバタンキュウ!よくソノ時ね、お婆ちゃんなんかが、“アレマ!もしかしてヒトミは死んじまったのかい?”なんて言うのよ!」

「キャハッ!お婆ちゃんのモノマネ超似てるッ、お母さん!」

「ウフフ!死ぬ訳無いじゃないわよね?私達民族は、不老不死の宇宙人なのにねッ!」

「じゃあさ、お母さん?一体お婆ちゃんは何処に行ったの?」

「ウフフ、ミユキちゃん。お婆ちゃんなんて初めっから居なかったのよ!」

「キャハッ、私のお母さん。ウケる」

「..アラ?ところでミユキちゃん?ミユキちゃんの背後の漆黒の影..一体何処で拾って来たの?第一アナタ、存在が無いのに如何して“影”なんか付いてるの?お母さん心配。」

「ア、ああコレ?コレねぇ、宇宙店主のオヂサンに御願いされて、“暫くの間で良いから付けてくれ”って頼まれたの。何かねェ、地球人民族の『魂』って聞いてるけど..。一応、代表格は『ミチオ』に命名した。」

「アラ!『ミチオ』さん?良い名前じゃない!?それじゃ、お母さん、気を付けてお家の中で『ミチオ』さん、踏まない様にしなくっちゃね!」



 アンタ達、この今、アンタ達の目の前に居るのが私のお母さん。挨拶しな。

 

「初めまして。何時もミユキがお世話になって居ります。ワタクシ、ミユキの母親のヒトミ、と申します。」

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