第5話 今日の宇宙店主

 皆さん、どうも宇宙店主です。


 宇宙店主、ここ最近は、チョットした事情で地球の実店舗の方に居りまして..。

 

「エエっ!ちょっとチョットぉ、宇宙店主ゥッ?!あんた、未だ宇宙空間を宇宙船で浮遊中何じゃナイのぉっ?!」

 

「ハイ!どうも御指摘の方、有難う御座います!」

 この宇宙店主、既に、と云いますか、トックの大昔に地球に着いて居ります。ウぅぅン..そうですねぇ、多分ですがコノ宇宙店主、地球が未だ“ジュラ紀”の時代には、既に『宇宙書店』を開いて居りましたね。エエ、はい。『第四話 今日の宇宙店主』とは全く辻褄が合いませんが、其れが何か問題でも?

 

 一体、今回は如何して宇宙店主が宇宙書店にて店番をして居るのか?其れは、ナオミちゃんが大きく関係して居ります。

 おっと、急に“ナオミちゃん”と言われても、「ギャフン!」面食らう地球人読者の方もいらっしゃるかも知れませんね。

 宇宙店主が作品の買い付け等で、この宇宙書店を留守にしなければならない時は、このお店のアルバイトのナオミちゃんに御願いするのです。

 

「アっ、そうですね!このナオミちゃんの事を、皆さんに詳しく御紹介して居ませんでしたね!」

 彼女ことナオミちゃんは、地球の四年生大学に通う宇宙人大学生です。彼女の取って居る専攻と云うのが、“ロボット工学”と云うモノでして、将来の夢は、其の経験を活かして自分の惑星に帰り、ロボットを使っては、地球多国籍レストランを開きたいみたいなんですよね。

 彼女曰く、給士ロボットや、調理ロボットをお店に置く事によって、懐古主義の宇宙人や、地球の『田宮模型』ファンの宇宙人達が、さぞや沢山訪れるのでは無いか?と云うのが狙いです。

 ですが一番の理由は、「自身の料理や、自身の廻りの御世話をしてくれる輩が欲しい。」みたいですね。

 学ぶ方向性がチトずれて居ますが、一般的な宇宙人とは、皆さんが大体こんな感じです。理には決して適って居ない、大胆な的外れな生き方をして居るのです。

 然しコノ宇宙店主が思うに、ナオミちゃんの場合は、大学ではナク、料理の専門学校に通うべきだと思うんですが、如何でしょう?

 まぁ、若いと云う事は、可能性が無限大ですからね。実際、宇宙人には“年齢”と云う括りは在りませんが。

 後、無知で在ると云う事も、とても素晴らしい事ですよね?新しい事をコレから沢山学べる訳ですから。

「嫉妬してしまいますね!」

 宇宙店主は全く無知では在りませんので、学ぶ事が無さ過ぎて、毎地球日がソレは退屈で退屈で。

 無知で愚かなナオミちゃんが羨ましい限りです。


 そして、地球人には分かる事は出来ませんが、惑星地球の外側の宇宙世界では、最近、地球人食がとても人気を呼んで居るのです。ヘルシー且つ、美味しいですからね!


 

 実は宇宙店主、本来で在れば、今頃は未だ足を延ばした事が無い“宇宙の果てで、強引にヒン曲がっては、宇宙の裏側の裏宇宙世界に繋がって居る”と呼ばれる場所まで、持ち合わせては居ない透明な八本脚で、足を運んでみよう..その様に予定して居たのです。

 ですが、丁度ナオミちゃんが、「自分の星に里帰りする。」と云う時期と思いっ切り被さってしまい、勿論ナオミちゃんの予定を最優先させて、この宇宙店主が地球に残っては、店番をして居るのです。

 今回、宇宙店主が本当に行きたかった、『裏宇宙』の未知なる世界には、噂でモノ凄い才能を持った宇宙人作家がワンサカと存在して居る..との事ですので、皆さん?乞うご期待です。



 今回、ナオミちゃんが田舎に里帰りした一番の理由が、其の惑星で毎宇宙年に、惑星全体を挙げて開催される惑星の住民達にとって、一宇宙年の中でも最重要な催し物の、『宇宙船ブーメランフィスティバル』に参加する為です。ナオミちゃんは何と、今回のお祭りの『ブーメランクイーン』に選ばれたのです。


 簡単に、このフィスティバルの内容を皆さんに説明致しましょう。

 この惑星の各家庭で、長宇宙年に亘って乗られてきた、チト老朽化した宇宙船を手に持ち、丸い輪を描きながら、現地の惑星で産まれた生粋の若い女性宇宙人達が、地面を舞って踊ります。この舞いの中心には、其の宇宙年(とし)の『ブーメランクイーン』が直立してまして、これまた官能的な踊りを、参加者の皆さんに披露致します。この踊りの意味合いは、宇宙船の神様に感謝の気持ちの意味を込めての舞い、と、なって居ります。地球人民族の例で喩えますと、

『スペインのトマト祭り』みたいなものでしょうか?

「適当に言ってみたのですけどね。」


 そして其の舞いが終わった後に、続いては、惑星の腕自慢の地元男性宇宙人達が、その舞いに捧げられた、古くなった宇宙船の数々、其れ等を宇宙空間に向けて、更には回転力を付けては、思いっ切り、

「エェェイ、やあッ!」飛ばす訳です。

 ここに『ブーメランフィステバル』の由来が在るのです。然し、この競技には勝敗などは在りません。あくまでも儀式の一環です。ナオミちゃんの星の宇宙人達は、とても温厚で、非常に大らかな性格で、広く知らせて居ます。

 そして、その飛ばされた宇宙船が、もしや他の惑星や、星に激突した場合には、その被害を被った惑星は、その宇宙年から、一京宇宙万年程の御利益が続く、と云い伝えられて居ります。ですから、どの惑星達も「自分が!自分が!」と、当てられる事を期待して居ます。

 そして逆に、ドコにも掠らなかった宇宙船は、長い時を掛けて、宇宙空間の中を「どんぶらこ、どんぶらこ..。」

 行き先が定まらぬまま漂い、その内、“宇宙錆(サビ)”と呼ばれるモノが船体に付着し、宇宙時間をジックリと掛けて、徐々に船体全体を蝕んでいくのです。

 いずれは、其の宇宙錆のせいで脆くなってしまった母体が、何らかの惑星や、星と正面衝突をして、バラバラに分解されてしまい、最終的には其々のカケラが、とても小さな星へと変化をして行くのだそうです。

 儚くも、其れでいて、何かロマンを感じてしまう様なお話ですね。


 では。



 宇宙店主

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