3.おにいさま。

 僕が生まれて一ヶ月が経った頃。母の体調も回復し、医師と数人のメイド(なぜか男のみ)、父以外が面会できなかったのが、できるようになった。


 最初に来たのは父と母の両親だった。


「おう、アレクちゃん、可愛い子産んだなぁ!さすが俺の息子だ!」

 がはは、と笑う銀髪のイケオジは母の父。おじいちゃんと呼ぶには少し若い気もする。


「アレクちゃん、パパはこんなだけど、ほんとに可愛い子だわぁ…!クリスちゃん、あなた二児のパパになったんだから、ちゃんとアレクちゃんの体調管理するんだよ?この子笑顔で無理するんだから!」


 と、ピンクゴールドの髪をひらひらさせながら釘を差している…おばあちゃん…?男…ですよね…?


「おいおいうちのクリスは嫁第一だぞ?お前んとこのアレク第一とおんなじだから心配すんなよ!」


 このガチムチマッチョさんは…父の母らしいです。とても男らしい精悍な美丈夫さんですが、とても父を生んだようには見えません。


「ルカリオンちゃん、おじいちゃんですよぉ~、みんな騒がしいですねぇ~。もうそろそろでみんな帰りますからねぇ~、煩くなくなりますよぉ~」


 にこにこと父をそのまま年を取らせたようなこの方は父の父らしい…。とても父には見えません。母かと思ってました。



 ワイワイガヤガヤと騒がしくも楽しい雰囲気で、僕の両親を労い、そして僕の誕生を祝う言葉が飛び交うこの空間がたまらなく幸せだった。









 ✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿










 その次の日。


 麗らかな日差しが差し込む部屋で、母は本を読み、僕は体を動かす練習をしていた。


 すると扉をノックする音が聞こえ、「アレク、ルカリオン、ジークフリードを連れてきたよ」と、父が入ってきた。そしてその後ろには父によく似た美少年がいた。


「クリス、ジーク、いらっしゃい。ジーク、久しぶりだね、寂しくなかった?ほら、この子が弟のルカリオンだよ、可愛がってやってね」


「母上、私は寂しくなどありませんでしたよ。父上がよく話しに来てくださいましたし、弟が産まれたと聞いて少しワクワクしていました」


 ジークフリードと呼ばれた少年はちょこちょことベビーベットへ近づき、僕を見た。


「わぁ…この子が私の弟ですか…!!可愛い…、そうだなぁ、ルカリオンだから…ルカだね!ルカ、お兄様だよ、我が家へようこそ、可愛い私の弟!」


 すごくやさしそうなおにいさま…ぼくのこと、すきだ!って、すごくわかる…うれしいなぁ、うれしいなぁ…!まえの兄さんはこんなやさしそうな目してくれなかったから、こころがなんだかぽかぽかする…!


「わぁ…!!母上!父上!私を見てルカが笑いましたよ!!」


「おやおや、ルカリオンはお兄様が大好きみたいだね」


「父様より先に兄か…、負けた気がする…!」



「ふふふ…何を言ってるんだ、クリス…ふふ、ふふふ…」


 母が笑うと、父は照れたように微笑み、兄もそれを見てくすくすと笑った。








 すごくすてきなかぞくだ…!







おかあさん、かみさま、このおうちにうまれさせてくれてありがとう。このおうちにうまれてきてよかった!!









「「「よろしく、可愛いルカリオン」」」














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