2.アーバスノット公爵家。
「旦那様!!!旦那様!!!奥様が!!!!」
その日はとても晴れやかな日だった。
静かに妻を想いながら、執務室でペンを走らせる。
だが唐突に静寂がその一声で突き破られた。
慌てて妻の元へ向かうと、なんと妻が産気付いていたのだ!側には既に医師がおり、テキパキと赤子を取り上げる準備をしていた。
「アレク!!!」
「クリス…うぅっ…!!!もう産まれる…!あぁああぁっっ!!!!」
「アレク、息をしっかり吸うんだ!ひっひっふー!頑張れ!!」
そうこうしてるうちに赤子の頭が出てきた!もう少しだ!頑張れ!
おんぎゃあ、おんぎゃあ、おんぎゃあ…
その日の公爵家は歓喜し、涙を流し、赤子の誕生日をこれでもかと祝い叫んだ。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
ぬるま湯に浸かっていると思うほど気持ちの良い所から、急に明るい所へ出てしまった。
さむい…。まぶしい…。あ、でもなんかふかふかの何かに包まれてる…?
ぱちぱち…
うん…??
なんだめのまえのかっこいいひとは。
「産まれたぞ!アレク!君にそっくりのきれいな子だ…!!あぁ…可愛い…!ありがとう!アレク…!愛してる…!」
ええと…てことはこのひとがぼくのあたらしいおとうさん?
ん…?アレクって…男の人の名前じゃなかったっけ…?
「アレク…ほら…抱っこしてみてくれ…!」
そ…っとぼくを渡した相手…おそらく母となるであろう人は…男だった。それも美女と見間違いそうなほど美しい男性だった。銀の髪が汗でしっとりと額にくっついているが、明るい碧の瞳からは達成感と愛しい、という思いが溢れ出ていた。
「可愛い…僕の可愛い子…。母様と父様のもとへよく来たね…ルカリオン…。」
かあさま…?とうさま…?このひとたちが、ぼくのあたらしい両親…?
アレクと呼ばれた母は優しい笑みを浮かべ、父は後ろに撫でつけた金髪にエメラルド色の瞳から滝のごとく涙を流していた。
これがぼくの誕生秘話だ。
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