第2話 更なる力を求め、少女は魔法を覚える

 武器を持って徘徊しているスケルトン達を、片っ端から剣を使って殴り倒していく。

 たまに複数のスケルトンから反撃を喰らい、眠りにつく事はあるが、復活してすぐに新たなスケルトンを狩りにいく。


 レイチェルはスケルトンを倒す度に体も動かしやすくなり、強くなっていく事を感じ取っていた。


 やがて、スケルトン相手ではやられる事も無くなり、レイチェルは様々な能力を得る。


 “下級物理抵抗” “刺突ダメージ軽減” “斬撃ダメージ軽減” “死をまとう者” “徘徊者” “下級防具生成”


 などと言った能力を手に入れた。

 “死をまとう者” と “徘徊者” に関しては、基礎的な能力であり、アンデッドとしての能力の向上と、探索系の能力が向上する効果がある。


 疲れる事もないレイチェルはそのままダンジョンを徘徊し、ひたすらスケルトンを狩り続けた。


 ダンジョン。

 そこは冒険者達がモンスターを狩り、ダンジョンの資源を集めに訪れる場所。

 時には一攫千金を夢見て、下層を目指す者もいる。

 

 そして、スケルトンとなったレイチェルは、その冒険者とエンカウントしてしまう!

 

 レイチェルは恐れる事無く、冒険者達に突っ込んでいき、手にした武器を振り回す。

 冒険者は手練れであり、その攻撃に対し、冷静に対処していた。


 「武器を持ったスケルトン? 妙だな。

 武器を持ったスケルトンなら下の階で出て来るはずだ…… それに、第二階層のスケルトンよりも強い。 何かよくない事が起きる前触れか?」 


 そんな事を呟きながらも、冒険者はレイチェルを圧倒し、止めを刺した。

 動かなくなったスケルトンを見て「考えすぎか……」と一言残し、冒険者は下層を目指し、ダンジョンの奥へと消えていく。


 深い眠りから目覚めたレイチェルは、強さを追い求め、その冒険者を追う様に下の階層へと向かい始めた。



 第二階層。

 ここでは武器を持ったスケルトンとスライム、そして魔法を使うスケルトンメイジが徘徊している。


 そんな事を知る由もないレイチェルは、第一階層と同様に、敵を求めて彷徨さまよい始めると、さっそくスライムを見つけた。

 

 レイチェルは迷う事なくスライムを斬りつけるが、殆どダメージを受けていない様子だった。

 スライムはレイチェルの頭に飛びつき、頭蓋骨を取り込んで消化液を使って攻撃をしてくる。


 スライムの攻撃もレイチェルにはあまり通じず、徐々に溶かされてはいるが、完全に溶かされるまでには相当な時間が掛かるだろうとレイチェルは判断し、スライムを無視して奥へ進む事を決意した。


 スケルトンであるレイチェルは視覚でものを見ているわけではないので、スライムが顔を覆いつくしていても問題なく周りが見えている。

 

 そして、今度はスケルトンメイジと遭遇する。

 木の杖の様な物を装備したスケルトンを見てレイチェルは心が躍る。

 きっと新たな能力を得られる。

 そんな予感がしていたからだ。


 レイチェルが近づこうとすると、スケルトンは杖を向け、遠くから何かを放って来た。


 それは魔法と言うには粗末な物であり、魔力の塊を作って放つだけの魔法。

 冒険者達の間では魔力弾や、魔力のつぶてと呼ばれており、魔力さえあれば誰にでも使える、初歩にも及ばない魔法だった。

 それでも、それなりの力で殴ったくらいには威力はあるので、使いどころしだいではある。


 レイチェルはその魔法を受け、大した威力ではない事を知り、スケルトンメイジに向かって走り出した。

 スケルトンメイジは後退しながら、魔法を放ってくるので、少し厄介だと感じたレイチェルは、下級防具生成の能力を使い、盾を左手に装備する。


 その盾で魔法を弾きながら、レイチェルは一気に距離をつめ、盾で殴り飛ばした!

 そのまま倒れたスケルトンメイジに、レイチェルは右手に持った剣で殴り続ける。


 スケルトンメイジが動かなくなるまで然程時間も掛からず、スケルトンメイジを倒したレイチェルは新たな能力を得る。


 “下級魔力操作” “下級魔法武具生成” “魔術士” “魔法ダメージ軽減”


 それが新たなる能力。

 さっそく魔法を使い、煩わしいと思っていたスライムを吹き飛ばす為、自らの頭に向けてレイチェルは、スケルトンメイジと同じ魔法を放った!


 全魔力を溜めて解き放った魔法の威力は強く、一撃で自らの頭蓋骨諸共もろともスライムを吹き飛ばし、レイチェルは眠りにつく。


 そして、目覚めたレイチェルは、魔法が使える様になった事に喜び、カチカチと歯をかみ合わせた。


 スライムを倒したお陰で、 “消化液” “酸耐性” の能力も得たが、 “消化液” の方を使って見ると体から消化液が滲みだしてくるだけだったので、レイチェルは自分向きではない能力だなと思い、使うのを止めた。


 立ち上がったレイチェルはすぐ近くに新たなスケルトンを発見する。

 相手も武器を持っているが、関係ないと言わんばかりに、突撃して武器を振り回す。


 第一階層にいたスケルトンと然程強さも変わらないので、武器を持ったスケルトンは難なく倒せた。


 新たなスケルトンだと言うのに、能力を得られず、レイチェルは少し残念そうにしたが、 “骨密度上昇” などの効果は上がっているみたいなので良しとする。


 その後もスケルトンメイジなどを狩り続け、更に下層へと降りる階段を見つけたので、迷う事なくレイチェルは階段を下る。


 スケルトンメイジを多く狩ったお陰で、少しまともな魔法も習得出来た。

 その魔法は “ダークフレイム” という魔法であり、暗黒の炎で敵を包み、攻撃する魔法。

 ただし、使うには杖が必要な為、レイチェルは盾を捨てて左手に “魔法武具生成” で杖を作って装備した。


 第三階層。

 ここでは今までに出て来たモンスターよりも強力なモンスターが出現する。

 出て来るのは、ストーンゴーレム、ジャイアントバット、シャードスライム、ビッグマウスハウンドである。


 レイチェルは奥へと進み、早速天井にぶら下がるモンスターに遭遇する。

 ぶら下がっているモンスターが、どういうモンスターなのか分からなかったレイチェルは、杖を使って覚えたばかりの魔法、ダークフレイムを使い攻撃を仕掛けた。

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