楽しい夏休み…?
第6話
「…夏休みに入りますが、問題を起こさないように気をつけてください。そして、……」
退屈ながらも、校長のその言葉が私たち兄弟に向けられている気がした。
隣では、スースーと寝息を立てて寝ている晴がいる。
気持ちよさそうに寝ちゃって…。
お見合いの日から、私の胸はなぜかモヤモヤし続けている。
そして
この気持ちは何なのか。
どうしたら
分からない。
ただ1つ、分かっていることは、空たちと聖雲さんが関係しているということ。
空たちを見ると、
聖雲さんを思い出すと、
モヤモヤが現れる。
どうしてなのだろうか…。
そんなことを考えているうちに、校長先生の話しは終わっていた。
晴も知らないうちに目を覚ましている。
「海。夏休み、どこか遊びに行こうね!また連絡する!」
「うん!私も連絡するね!じゃあね紅葉」
「じゃあまたね、海」
手を振り、下駄箱で宇宙たちを待っていると蓮桜くんがやって来た。
「あ、蓮桜くん」
「おお、青葉か」
「蓮桜くんは夏休みどこか行くの?」
「うん。ハワイへ」
「は、ハワ、ハワイ!?」
「ははっ。うん」
蓮桜くんの家って、お金持ちなのかな?
「いいなー!楽しんでね!」
「ありがとう。じゃあな」
「じゃあね」
しばらくして、女子がキャーキャー言い出したので見てみると、晴たちがこちらに向かって来ているところだった。
「海!お待たせ」
「いつもより遅かったね。どうしたの?」
「女子に引き止められてさ」
「そうなんだ。なんで?」
「…告白ってやつ?」
「…ほ、本当?!」
「うん」
「何て返事したの?!何て返事したの?!」
「ちょ、目キラキラさせんなよ。返事は断った」
「えー!なんでよ」
「だって、好きな人じゃないし」
「なるほどね。晴、好きな人いるの?」
「…んー、分かんねえや」
分からない?
…いないってことかな?
「そっか。そういえば、今年の夏の旅行はどこに行くの?」
「さあ?俺たちも知らないんだよな」
「そうなんだ。あ、蓮桜くんはハワイに行くんだって。いいよねー…」
「へぇ。水川の家、金持ちなんだな」
「そうみたい」
「海、晴。水川、蓮桜?って誰?」
「クラスメイトだよ」
「そうなんだ」
…水川、水川…、どこかで聞いたことあるような……。
「ただいまー!」
「あ、おかえりなさぃ…」
目の前を勢いよくバタバタと誰かが通り過ぎていった。
「
璃輝さんは宇宙の補佐をしている人。
「あ、宇宙坊ちゃん。今、旅行へ行く準備をしているところでして」
「旅行?旅行はいつ行くんだ?」
「明日です」
『あ、明日?!』
「え、きゅ、急すぎないか?」
「私たちも今日、旅行のことを聞きました」
「そ、そうなんだ。旅行先はどこ?」
「組長は、キレイな青色をした海が広がっていて、砂浜はサラサラで白く、晴れわたっている空には、宇宙にある太陽がギラギラと輝いているところだ、と
『…は、はい?!』
ていうか、おじさんの言葉の中に私たちの名前が入ってない?
「本当におやじがそんなこと言ってたのか?」
「はい」
「…そうか」
ていうことは、その言葉を覚えたってこと?
すごいな。
「おやじの言葉から旅行先を考えてみると、ハワイかグアムか沖縄じゃないか?」
「確かに。いやでも、どれでもないかもしれない」
「空の言う通りだね。でも、どれかだったらいいなー…」
「そうだな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます