俺は、お前の事をヘンタイにさせたいんだけど

「……なんだ、これ?」


 ある日の放課後。大星たいせいは自宅近くの道端で、とあるノートを拾う。


 ノートといっても手帳ほどの大きさで表紙は真っ白だった。

 大星は見開いてみる。


「……そういう事か。なら、これを有効活用しないとな」


 大星は普段から学校で虐めにあっていた。

 だから、その手帳を使う事に迷いなどなかったのだ。




「というか、あの子、この頃、露出度が高くない?」

「だよね、わざと見せてるとか?」

「それ、ビッチじゃん」

「そうなんじゃない」


 翌日の学校では、大星の事を虐めている乃愛のあが他の子から変な噂を立てられていたのだ。


 昨日から使用し始めた手帳の影響なのだと、昼休みの教室にいる大星は自身の席に座りながら口角を上げていた。


「な、何よ。あんたさ」


 乃愛が怖い形相で、大星の元へ近づいてくる。


「どうせ、あんたの仕業でしょ」

「そ、そんな事はないよ」

「本当かしら? もし、嘘をついていたら、ただじゃおかないからねッ!」


 乃愛は怖かった。

 がしかし、ここで怯えるわけにはいかない。


「じゃあ……別のところで話そうか」




 教室を後にした二人は今、別校舎の空き教室にいる。

 二人は向き合うように、その場で佇んでいた。


 大星は緊張を抱きつつも、手帳を片手にシャープペンで書きこむ。

 すると、彼女はブラジャーとパンツだけの姿へと変貌する。


「きゃッ、な、何なのよ」


 乃愛は両手で胸元を隠し、その場でしゃがみ込んでしまう。


「俺、こういう事も出来ちゃうんだよね。だから、こんな事をされたくなかったら、これから俺の意見を聞いてほしいんだけど」


 乃愛の表情からは強気なオーラが消滅する。彼女は現実に打ちひしがれ、嫌がる顔をしながらも大星に従う素振りを見せ始めるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る