佐久間さんは、休み時間になると俺のことを弄ってくる

「ここまでの要点はノートにまとめておくように! 今度のテストに出るからね」


 社会の先生は黒板をチョークで叩いて説明していた。

 先生は授業が終わると、すぐさま後片付けをして教室からいなくなる。


 やっと終わったかぁ……。


 本多秋ほんだ/あきは勉強疲れで強張っていた体を解すように肩から力を落とす。


「ねえ、秋ー」


 右隣の方から声が聞こえ、チラッと振り向くと隣席の彼女から指先でほっぺを突かれる。


「騙された感じ?」


 彼女は子供っぽく笑っていた。


 またかと思いながら、秋は机に広げられているノートと向き合う。


「また勉強?」


 話しかけてきた彼女はクラスメイトの佐久間芽衣さくま/めい

 客観的に見ても美少女なのだが、どこか残念でもある。

 セミロング風で若干短めなヘアスタイルだからこそ、ガサツな部分が結構見え隠れするのだ。


「そんなに勉強ばかりで疲れない?」

「べ、別に……」


 また、ほっぺを突かれた。


「何事も気軽に考えた方がいいよ。リラックスね」


 秋は、はにかんだ顔で秋に語り掛けてくる。


「休憩時間だし、ちょっと遊ばない?」

「何をして?」

「まるばつゲーム」

「いいよ、そういうのは」

「もしかして、負けるのが嫌だとか?」

「そうじゃないけど。まあ、だったら、やるよ、その勝負」


 実際にやってみた結果は秋の負けだった。


「じゃあ、私の勝ちってことで、秋は今日の放課後、私と遊ぶ約束をすること」

「で、でも、今回だけだからな」

「じゃ、決まりね。そういうことで楽しみにしてるからね!」


 芽衣から意味深なウインクをされ、不覚にもドキッとしてしまう。


 別に、アイツの事なんて好きじゃないからな……。


 そう言いながらも、秋は彼女の事を横目で見てしまうのだった。

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