第9話

俺は翌朝、席に着いた春日に勇気を出して声をかけた。



「あのさ、春日」


「ん?なに?」



春日は俺の右の席。



「渡したいものがあるんだけど」



そう言って俺はライブのチケットを二枚、渡した。



「……何これ?ライブ?」



俺が頷くと春日は制止する。


そして何か考える。



「悪いんだけど、わたし音が大きいのとかあんまり-」


「米倉と、来れない?」



米倉が登校してきたのを確認し俺は声を張りめで言う。



米倉は自分の名前を呼ばれ少しこっちを向いた。



「……なんで蘭?」



ギャラスタが参加することは口外禁止だ。



「私が、なに?」



米倉は俺の顔は見ず春日の肩を叩き、言う。



福本先輩の言った通りだ!

俺はチケットを米倉に見せる。


すると米倉の顔はパァーと明るくなった。



「これ、くれるのっ?!」



俺が頷くと跳んで喜ぶ。



「何なの?

なんで蘭がそんなに喜ぶのよ」



米倉が春日に耳打ちすると「あぁ」と、チケットを手に取った。



「これ、ギャラスタも出るんだ」


「秘密だけどな」



すると春日は俺を見て面白そうに笑った。



「……なに?」


「いや、別に?

なるほど、笹内ってなかなか上手いね」



春日の言葉にドキッとする。



「うまいって?」



「誘い方、上手いね」



だけどその言い方はバカにされてる感じは全くなかった。



「楽しみにしてるね」



やっぱりギャラスタってすげーなぁ……。

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