第3話
翌日、ギャラスタの前で俺達は一曲通して演奏した。
「ヤバいな」
流星先輩は耳を抑えたまま小声で呟く。
「これは、ヤバい」
「まあ、部活の他のバンドはこんな感じですね」
福本先輩の言葉に流星先輩は首を振る。
「甘い」
そして一人ずつに言う。
「まず、ドラムは叩けば良いってもんじゃねんだよ。
そんでギター。
ハモってねぇ。ズレてる。
ベースも自信なさすぎ!
何弾いてんのか全然分かんねぇ」
そしてフミを指差す。
「適当に歌ってんじゃねぇ。真面目に声出せ」
落ち込む俺に鈴音先輩が「ドンマイだよ、しまちょん」と優しい声をかけてくれた。
「スズも!
お前、何回音ミスしてんだよ!
手伝うんだったら、もっと引っ張ってかなきゃこいつらに失礼だろ!」
鈴音先輩は小さく「はい」と返事する。
「でも、あと一ヶ月ありますから」
福本先輩が笑顔で言った。
「死ぬ気でやれば平気でしょ」
何でそんなキラキラ笑顔でそんな怖いこと言うんだ……。
俺が何も言わず落ち込んでると流星先輩が近付いてきた。
「おい、しまちょん」
「はい……?」
肩に手を置かれ耳元で言われる。
「スズを取ろうなんて良い度胸だな」
別に取ろうなんて。
先輩から名乗り出てくれたんです。
そう口を開こうとしたら。
「殺す気で教えてやる」
無駄に色っぽいその声は俺の背筋を凍らすのに十分な温度だった。
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