第二話 こんな転生嫌だ
一旦話を整理しよう。
まず私はこの屋敷の女主人夕顔。そして仕えているのはこの右近という女性一人だけ
らしい。
嫌な予感がしてきて、でもありえないと首を振る。
「そう…、それで右近。どうしたのかしら?」
「!そうでした。なんと!頭中将様から恋文が届きましたよ。」
「はぁ!?」
やっぱりそうだ。信じられないけど私は源氏物語の中、それも夕顔として転生してし
まったんだ。
そうと分かると不思議なことにだんだんと思い出してくる。私はあのとき電車に
れて見るも
る。
それはさておきこれはとんでもないことになったぞ。
夕顔に転生したからにはあのイライラする性格には絶対にしないから良いけど、
問題は死に方だ。なんとかして物の怪に会わないように生きていかねば。
すでに立っている死亡フラグを折るために
とこれしか無いだろう。
「その手紙捨てといて。」
右近は何を言っているのか理解できないのか固まっているけれどしょうがない。
元はと言えば頭中将の愛人であったことで正妻の父にいじめられて、
挙句の果てに光源氏の活動範囲へ引っ越すんだから絶対に会いたくない。
そもそも頭中将と言い光源氏と言い私の好きな男性とはかけ離れている。
私が大切にしたいのは何より距離感。恋人であろうと一定の距離感を持ってもらわないと息が詰まる。
だから距離感とかそういう問題ですら無い奴らはただの単細胞に等しい。
「ですが夕顔様、頭中将様と言えば位も高くこの貧乏家にも多少の恵みは…。」
「良いの!それにそんな悪くない生活でしょ。」
「いえ、大変申し上げにくいのですが姫様のお化粧や衣装に…。」
…さすがは男性キラー夕顔。幼い頃から男性に好まれるメイクの研究ですか。私はメ
イクをしたことどころか道具を買ったこともないのに。
「これからはもういらないから。あと父上と母上は?」
「御父上も御母上も姫様が幼い頃に
ですか?」
「あっ、違うの。念の為確認しただけだから。」
慌てて笑顔を作るものの完全に怪しまれている。それにしても母親が今世でもいない
とはよっぽど母親という存在と縁がないのだろう。
「それはそうと!姫様が頑張らないとここは大変なことになるので一刻も早く良い方
と出会わなければならないのですよ?」
「わかってるって。でも頭中将は無理。あの人噂の限りでは好みじゃないの。」
「好み…では姫様の好みのみとやらはどんな
「必要以上に話しかけてこない人。」
「本当にいつもの姫様ですか?」
やばい、思わずいつもの私で行き過ぎた。確かに小さい頃から一緒にいた右近ならこ
んな変化なら簡単に気付いてしまうのだろう。
「とにかく!私はまだ結婚しません。」
咳払いをしてごまかすと私は新しい環境に疲れてもう一度寝ることにした。
起きるともう夕方で、取り敢えずわかったことを紙にまとめてみることにした。
1つ目、私は夕顔で、仕えているのは右近だけ。
2つ目、両親は幼い頃に亡くした。
3つ目、まだ頭中将と会ってないらしい。
4つ目、精神は私だけど体は夕顔だから文字とか体力は前世とは違う。
5つ目、今いるのは物語になる約四年前で私は十五歳。前世と同い年。
まだまだわからないことだらけだけど、大抵のことは体が覚えているおかげで何とか
なる。この頃、光源氏は十三、四くらいだから何の動きもなかったはずだ。
だから今するべきなのは頭中将の対処だけ。
多分手紙が返ってこなかったくらいで諦めてくれる相手じゃないからどうにかしてや
らないと…。
相手は17才くらい。要は高校生がやられて嫌なこと、もしくは怖いことは…。
あぁ、この時代の人なら多分びっくりするだろう。私は良い案を思いついて右近を呼
ぶ。
「銅と塩を集めてくれないかしら?できるだけ多くね。」
「はぁ…?銅なら寺のどこかにはあるでしょうけど…一体何に使うのですか?」
「秘密。」
ニッコリ笑って言うと、右近は納得がいってない様子だったけど一応探しに行ってくれた。
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