第2話
そのフクの腕を力強く掴む。
「ゆきくん?」
「蘭ちゃん……、あの……」
そしてフクは俺の手首を空いてる手でチョップした。
「いって!」
思わず離れる手。
「蘭ちゃん、急いで!」
そしてフクは蘭の手を引き素早く隣の蘭の部屋に逃げる。
鍵かけやがった……!
「おいっ!フク!」
「秀、悪い!
蘭ちゃんが寝れるまで俺、ここにいるから部屋で待ってて」
蘭を寝させてから俺と戦うつもりか。
「……分かった」
本当、どこまでも紳士的だよな……。
大体、蘭も蘭だ。
怖い夢ってバカじゃねーの?!
俺からすれば男のがよっぽど怖いし危ないっつーの!
……まぁ、フクは絶対そんなことしないけどな。
でも何か嫌だろ?
親友と妹がその……、なんか……、……。
俺は部屋に戻り淳士に電話をかけ直した。
「あれ?秀?」
「……明日、行く」
「は?何で?無理すんなよ」
「明日蘭とフクが二人でいるの見たら俺、フクのことボコボコにする気がする」
淳士はしばらく黙ってから気まずそうに相槌をうった。
「じゃあ、明日。
お前の地元の駅で待ち合わせな。昼の11時くらいで」
それだけ言って電話を切られた。
「俺明日、淳士と初詣する」
部屋に来たフクに布団を被って言った。
「え……?淳士と?」
不思議そうにするフク。
「だから、蘭はお前に任せたから」
殴りかからない俺を不思議に思ったんだろう。フクはなかなか寝ようとしない。
「……秀?どーした?」
「どーもしない。早く寝ろよ」
そして電気を消したフクに俺は寝技をかけた。
「ちょっ!お前、卑怯だぞっ!」
「うるせー!
明日、二人きりにしてやんだから、これくらい我慢しろよっ!」
フクは俺の足を手で引き俺を布団の上に滑らせ、その上に乗った。
「お前には単純に負けたくねーんだよ!」
そしてどっちが勝つこともなく朝を迎えて、起きたら既に10時半過ぎだった。
眠るフクを置いて俺は部屋から出て、淳士との待ち合わせ場所に向かったのだった。
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