第4話

集団は慌てて警察から逃げる。

その集団を警官が追いかけた。



「あすかっ!」



その警官の後ろから義旭くんが走ってきた。



「お前、何してんだ!」


「よしあきくーん……」



涙を流す私を義旭くんが抱きしめた。


ピタリと止まる涙。


え、え、え……?!



「何度こうゆう目にあえば気が済むんだ」


「よ、よしあきくん……?」



「さすがにあんな大勢、俺でも相手にできる訳ないだろ」



その時、気付いた。

警察を呼んだのは義旭くんだって。



「あの……、」


「お前が思ってるより、世間はお前をそうゆう風に見てるんだ」



信じ難い状況に思考が止まってしまう。


なんだ、これ。どーなってるんだ……?!



「あの……、よしあき……くん?」



私が名前を呼ぶと腕の力を余計に強める。



「え、ちょ、くるし……」


「何もされなかったか?」



そして私の破れた上着を見る。そして私の手首を見る。


「……痛くなかったか?」


「ちょっとだけ。でも別にそんな……」



その数秒後。


私の唇に暖かい感触が。



離れた所でカウントダウンが聞こえて、年を越したのが分かった。



「よしあき……くん?」



何も言わずにまた唇を重ねた義旭くん。



深く深くキスされて、苦しくなって口を開けたら舌が入ってくる。



そのまま押し倒されて、ここ地面なんですけど!って思ったらハッと口を離す義旭くん。



そして咳ばらいをして私のことを起こす。



私が破れた上着を脱ぐとジャンパーを貸してくれた。



……服借りるの二回目だ。



「あの……義旭くん……?」



「都は昔から俺の道場に通ってる二個年下の後輩だ」



私の言葉を聞かずに先に話し始める義旭くん。

義旭くんのお父さんは剣道の先生をやってる。


「そう、なんだ……」



私達の間に沈黙が流れる。



「あの、よしあきくん……」




「今のことは誰にも言うなよ」



私の顔を見て厳しく言ってくる。



「え、うん。言わないけど……」


「強引に押し倒して悪かった」



そして赤い顔で言った。



「無事で、ホッとして、その……。



おかしくなった」



新年、始まって早々今年は何やら良い予感がします。







2010.05.02

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ノットクールデイ 斗花 @touka_lalala

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