DM数:4件目 山田くんだから


自分の部屋のベットの上で私は、

大好きなポメラニアンのぬいぐるみを抱きながら後悔の渦にぐるぐるとはまっていた。

なんで了承してしまったのだろうか。

確かに彼は本当に困っていそうだったし

そんな顔をしてほしくなかった。

だがそう、

彼は 人気者 なのだ。

だから私以外にも頼れる女子はいるはずなのだ。

彼の周りの人物を思い浮かべる

人気者の美桜さん、可愛らしい津田さん

私は仲良くないからか、

その2人くらいしかぱっとでてこないが

きっと本当はもっといるのだろう。

そして、なぜ私なのだろうか。

考えれば考えるほど考えがまとまらない。

「これじゃあ眠くても悩んで眠れないんですけど、、」

そんな私は心の叫びと裏腹に

深い眠りにへとついてしまったのだ。


「おはよう!」

と言う相手もいない私は

朝の遅い時間、人があまり登校していない時間帯を選び1人で学校へと歩き、

1人で窓を意味もなく見つめながら孤独を見ないものにし、

1人で廊下を歩き、

1人で教室にはいり

あ とも ん とも一言も喋らずに

椅子へと腰をおろすのであった。

昨日クラスの人気者と話したとしても、

急に仲良くなるわけでもないし

地味な私と山田くんは話したく無いだろう。

机の上で私は頭を伏せる。

その行動には意味がなくても。

終わらない長い時間を潰すために。

そして昨日ぼんやりと

『明日早速また、空き教室に集合できる?』

という彼の弱々しい声を思い出したのであった。


「おい川島 大丈夫か?」

突然元気な声が頭から降ってきて、びくりと猫のように体を強ばらせてしまった。

は、え?山田くん…?

自分はなんてことを、考えていたのだろうか

「…ん、?大丈夫だよ

ちょっと自分の愚かさに悩んでいただけ。」

そうか、

彼は

山田くんは

他人からの自分の評価を気にしないのだ。

だから私にも話しかけて…

私は本当に愚かな人間だな

そういえばだが、

たまに朝元気に挨拶してくれる人がいた。

けたっと笑い、大きな声で

私はその眩しさにその人物を見つめれなかったのだが、

もしかしたら山田くんなのかもしれない。

「…ふっっ あはは!

それって、なに、ふっ…愚かさ?、ふふ」

山田くんみたいな、真っ直ぐな、素直な人になりたいな…

イイネをもらったときのように…

胸が温かい。

それ以降山田くんと話をする機会は無かったのだが本当に人と話さない吹雪にはもう天国であった。

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