第4話 バイルシュタインにて③

私たちに向かっていた敵を抜けると味方の砂ぼこりが見えてきた。退却しながらの戦いというのはとても難しいのだがよくもっている。


「各隊突っ込め!」


あちらさんは後ろから来た敵に驚いた様子だ。当然か。追い手は態勢を整えるため足を緩めたので、その後なんとか市街地に入ることができた。町の広場で兵を整える。その頃にはあと一、二時間で日暮れという時間になっていた。


「ユリア、ご苦労様。」

「お陰さまで。」


ぶっきらぼうだなぁ


「いいたいことがあるなら言ったらどう?」

「じゃあ失礼しますが」

澄まし顔がつり目になる。

「退却の援護といっておいて足の遅い歩兵をほったらかしとはどういう了見ですか?!……!」

「悪かったわ。」

「そうやってすぐ謝って……」

ユリアと仲良くなれる気がしない。それは向こうも同じなのだろうか。

「ともあれ次の襲来まで間もない。用意しましょう」

「……」

すぐさま敵の音が近づいてきた。

「策がある。騎馬隊は班に一人が馬を引き連れ迂回して帰還。歩兵は各自、夜まで周辺で隠れて待機するように」


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