第2話 いろいろ準備!
赴任から一ヶ月。ちゃんと「先生」という職務を全うできているか怪しい。
だいたいの進行は最年長の中3の彼が行っているので、授業以外はほとんど出る幕がない。
「吉田先生、そろそろ~地域の人たちを呼ぶ「恒例行事・初夏祭り」が6月にあるの!ヒマだったら準備手伝ってよ!」
と生徒から頼まれる。これはある意味チャンス!
生徒曰く祭りの開催会場はここ(小中学校)らしい。
「私は、何を手伝えば?」
と問うと
「祭りのデザインとキャッチコピーをお願いしよっかな?吉田先生、おなしゃ~」
何と言うか、いきなり重要な仕事を任されてしまった…考えたフレーズ次第によっては来場者数に大きく関わる!
そして生徒たちはと言うと、地域の人たちから頂いた資材を使って、屋台を作ったり暖簾を作ったりしている…
みんな手慣れているのか、一瞬で完成させる。
「地域の人たちが資材に印を付けてくれているから、その印に従って組み立てているだけ。思ったより簡単だよ?」
と小学生は当たり前かのように語る。
この子は小2ながら、あの中3男子と同様に工作が得意。そして、身体能力が高くジャンプ力が桁違い。本人曰く「虫に驚いていたら、自然とジャンプ力が上がった。トレーニングとかはしていない」と語っている。たぶん、大きな虫だったんだろう…
あーいかんいかん。祭りのデザインとキャッチコピーを考えなければ…
ここに来る地域の人たちって…農家の人や個人商店を営んでいるおっちゃんとかのこと…だよな。あとは…町のお偉いさん(町長)とかかな?
そして、結局キャッチコピーは「北の町の夏がはじまる!」になった。
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