エピローグ 見合う二人 その六
ポーは訥々と語る。
「……俺も、長い時間を戦場や裏社会で過ごしてきた。
様々な男を見てみた。
国に忠誠を誓う高貴な意思を持つ愚民。
大衆の目を欺くために貴族の成りをした上官や役人。
多くの死も見てきた。
その中で会ったのが平野平秋水だ。
最初に目に入ったのは圧倒的な力だ。
単純な力から格闘技のセンス、各種武器の取り扱いから性能を最大限に生かす……
その上、味方であっても敵であっても妙に惹かれる。
……そうだな、恋心に似ているな。
変な気はない。
ただ、俺たちにないものを彼は……『
もっとも、当時の本人曰く『この性格に慣れねぇなぁ』と言っていたがな……
彼は常に笑っていた。
敵を跡形もなく殺す残忍な笑い、仲間と愉快に笑いあう、何かを思い出している自嘲……
実を言えば、彼が本気で怒ったのを見たのは俺は初めてだった。
身の毛が逆立ったよ……
彼の体が文字通り巨大化して獣のようになって原始の神そのものになったような気がした」
シャワールームで裸になり個室で足の裏からボディソープをつけた海綿で足の裏から洗い始めたポーは語る。
「原始の神……?」
逆に髪からシャワーを浴び隣の個室から石動が問う。
「人が、いや、動物が本能的に恐れるもの……死、そのものだよ」
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