第三話 プロを馬鹿にして喧嘩を売るということ その四

「おめぇさんたちは覚えてねぇかもしれないが、うちのリーダーはよぉおおく覚えていたよ」


 わざと「よく」というところを長くして言った。


「あんたら、親の金に物言わせて高額な、それもルールどころか違法すれすれの魔改造をしたモデルガンでバトルしただろ? そこはアマチュアとプロの差で多勢に無勢だったけど、あっさり惨敗。その腹いせに、うちのアジトを滅茶滅茶したろ?」


 鷹森は、秋水の言葉に目を見開いた。



 鷹森がリーダーのサバイバルゲームのチームは『絶対勝利』『現実戦争』を旗印に、ネットを通じて全国の同じサバイバルチームに挑戦状を叩きつける。


 だが、実際は秋水が言ったように魔改造したモデルガンなどで相手をいたぶる。


 ゾンビ(ルール上、撃たれて行動不能になっても戦闘行為をすること)も当たり前。


 強引に勝利する。



 その中で、一人の大男が……そう、あのにやにや笑っている男が、笑顔そのままに銃も暗器も持たず素手のみで十人以上いるメンバーを戦闘不能にさせた男が、今、目の前にいる。


「お、その眼は思い出したかね?」


「……何者なんだ?」


「え? 名前を知って驚くなよ? 俺の名前は平野平秋水。通称『霧の巨人ミストジャイアント』」


 親指で指を指したスキンヘッドの男も紹介する。


「あいつのほうが有名かも知れん。ポー・スポークスマン。『暗闇の蝶ダークバタフライ』って某国の狙撃手で超売れっ子だった」


 その名前を着て鷹森は血の気が引いた。


 どれも、闇の世界では超ビックネームだからである。

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