第三話 プロを馬鹿にして喧嘩を売るということ その二
「はい、こーんばーんわーーーーーー‼」
最後のモニターが砂嵐になるのと同時にアジトの扉が蹴り破られた。
鋼鉄製で、これにも鉄棒で閂などをしてセキュリティーは万全だったはずだ。
だが、目の前に落ちた鋼鉄の扉には引きちぎられたような閂だった鉄棒とセキュリティー用の機器があった。
さらに蹴り飛ばした足跡がくっきりと残っている。
恐る恐る、地下のアジトを構えていた若者たちは画面越しで見たアロハシャツとスーツの男を見上げた。
「はじめまして……かな?」
アロハシャツのクルーカットの男は明るく言った。
「……」
スーツ姿のスキンヘッドの男は無言で文字通り、見下げるように若者たちを凝視していた。
二人とも高身長で、月を背景にしているため目の表情は陰で分からない。
若者たちは急いで、あの石動がポーに見せた玩具のような拳銃を出した。
中にはバルカン砲のような大型機関銃まである。
「おー、おー。まぁた、物騒なものを出したねぇ」
アロハシャツの男、平野平秋水は笑っていたが、急に声のトーンを落とした。
「おめぇら、それで綾子を狙撃したのか?」
その場にいたもの全員の背筋が、その声と言葉だけで震えあがった。
背後に怒れる鬼神を体現し、圧倒的な見えない力でねじ伏せるような威圧感。
若者たちは誰も返事もせず、引き金を引いた。
人間のミンチが出来るはずだった。
発射された弾丸は……虚空を撃ち抜く。
「ぎゃああああああ!」
若者たちの悲鳴が上がる。
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