第二話 くやしいけど、ジャンクフードは美味い その四

 数分後。

 

 目の前には、数日前の新聞の上に片手鍋が置かれ、中には野菜と豚肉と縮れた麺が白いスープの中にあった。


「何だ、これは?」


 ポーは問うた。


「サッポロ一番塩ラーメンだよ」


「インスタントラーメンか?」


「ああ、戸棚の下にあって使わせてもらった。あと、冷凍庫にあった野菜と肉も使った」


--俺はジャンクフードは好きではないのだが……


 礼を失さぬように割りばしで器用に一口数本の麵を啜る。


『美味い!』


 

 戦場に行けば各国の兵站、食料があるが戦場や災害現場ということもあり持ち込める食材などに限度がある。


 韓国では『兵隊鍋(スンプドゥ)』というものがあり一口食べたことがある。


 辛い以外、特に記憶がない。



 だが、インスタントとはいえまともな食事はポー自身の体の隅々に栄養が行くのが分かる。



「実に美味かった」


 ポーは汁の一滴残らず口に入れて嚥下した。


「じゃあ、依頼だ。この銃を鑑定してくれないか?」


 それまで笑顔で沈黙していた石動が懐から出したのは一見してブロックの玩具かと思った。


 辛うじて拳銃の形だと分かる。


 リボルバー式でスライドして驚いた。


 ちゃんと弾丸が装填されていた。


 手短なティッシュに弾丸を慎重に分解して火薬を見る。


「……これは精密で実に雑に作られている」


 ポーは最初にこう告げた。

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