第5話 港の祭りで大騒ぎ
妖精が倉庫街でのいたずらを終え、風に乗って再び港の上空を漂っていると、ふと賑やかな音が耳に飛び込んできた。太鼓の音や人々の楽しそうな笑い声が響いてくる。
「なんだろう? 面白そうだな……」
妖精が音の方向へ向かうと、港の広場で大きな祭りが始まっていた。色とりどりの屋台が並び、たくさんの人々が集まり、踊りや歌が披露されている。子供たちはヨーヨー釣りや射的を楽しんでいて、会場全体が活気に溢れていた。
「これは絶好のチャンス! ここでいたずらをしたら、もっと楽しいに違いない!」
妖精はニヤリと笑い、早速祭りの会場に舞い降りた。風が止まると、彼はヨーヨー釣りの屋台のそばにポトリと落ちた。釣りをしている子供たちに見つからないようにそっと忍び寄ると、妖精はヨーヨーをぷかぷかと浮かべ始めた。
「さあ、どうなるかな……」
突然、ヨーヨーが勝手に動き出したことに気づいた子供たちは驚いた。
「えっ? ヨーヨーが勝手に動いてる!」
「うそだ! お前が動かしたんじゃないのか?」
「違うよ! 本当に動いてるんだ!」
子供たちは混乱しながらも、ヨーヨーがひとりでに浮かび上がって動く様子を見て、びっくりしている。妖精はその反応を楽しみながら、さらにいたずらを続けた。
「もうちょっと遊んでやろうっと!」
次に妖精が目をつけたのは、たこ焼き屋台。屋台の前では、焼きたてのたこ焼きを楽しみにしている客が並んでいる。妖精は風を使って、たこ焼きをひとつふわっと浮かせると、それを屋台の上に乗せた。
「うーん、たこ焼きが見当たらないぞ……」
客はたこ焼きが見えないことに戸惑っているが、妖精はさらにいたずら心を膨らませ、次々とたこ焼きを浮かばせては隠していく。
「ねえ、たこ焼きどこ行ったの!? さっきまであったのに!」
「おかしいな……さっき確かに焼いたはずなんだが……」
屋台の主人も困惑し始め、祭りの客たちがざわざわと騒ぎ始める。妖精はその様子を見て、大笑いしながら次のターゲットを探していた。
「ふふふ、面白すぎる! もっといたずらしちゃおうかな!」
妖精は次に、祭りの中心で踊りを踊っている人々に目を向けた。彼は風を操って、踊り手たちの衣装を少しずつ動かし始めた。袖がふわりと舞い上がったり、帯が突然緩んだりするたびに、踊り手たちは驚きながらも、妙な踊りを続けることになった。
「何だか変な感じがするぞ……」
「これって新しい踊りのスタイル?」
観客たちはその奇妙な動きを見て笑い始め、祭りの雰囲気は一層盛り上がっていった。妖精は、自分のいたずらが成功していることに満足し、風が再び吹き始めるまで、会場の騒動を楽しんでいた。
「やっぱり祭りって最高だな! もっと楽しいことができそう!」
そのとき、妖精は急に強い風を感じた。再び空に浮かび上がると、彼は次の冒険に向けて再び旅立つ準備ができたようだった。
「さあ、次はどこで騒動を巻き起こそうかな……?」
妖精は、風に乗って夜空の彼方へと飛び去っていった。港町の祭りは大騒ぎのまま終わりを迎えたが、妖精の冒険はまだまだ続く。
第5話では、妖精が港の祭りでいたずらをして大騒ぎを巻き起こす様子を描きました。次回では、新たな場所での冒険がさらに展開される予定です。
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