第4話 倉庫街でのいたずら

港の倉庫街に漂い着いためかぶの妖精は、目の前に広がる光景に興奮していた。大きな木箱や積み上げられた網、漁師たちが忙しく動き回り、港は活気に満ちている。


「ここ、面白そうだな……いたずらのしがいがありそう!」


妖精はふわふわと風に乗りながら、どこにいたずらを仕掛けるかを探していた。すると、ひとりの漁師が大きな魚の入った木箱を倉庫の入口に置き、そのまま中へ入っていった。


「これはチャンス!」


妖精はニヤリと笑い、ゆっくりとその木箱に近づいた。ふわりと浮かびながら、木箱の上にちょこんと降り立ち、魚を見下ろす。


「よーし、ちょっとこの魚を……」


その瞬間、妖精が木箱の中の魚を動かし始めると、突然、漁師が戻ってきた。


「なんだ? 魚が……動いてる!?」


漁師は驚いて目をこすり、もう一度魚を見つめた。しかし、妖精はすでに風に乗って逃げ出しており、魚は何事もなかったかのように静かに横たわっている。


「おかしいなぁ……見間違いか?」


漁師は首をかしげながら、再び倉庫の中へ戻っていった。


「ふふふ、驚いた顔してたなぁ! 楽しい!」


妖精は大笑いしながら、次のターゲットを探し始めた。ふと見ると、今度は別の漁師が大きな網を積み上げている。妖精はそっとその網に近づき、風を利用して少しだけ網を動かしてみた。


「おっと……?」


漁師が驚きの表情を浮かべ、網を確認するが、やはり何も異常はない。再び網を整えようとすると、今度は妖精が思いっきり網をゆっくりと動かし始めた。


「何だ、何だ!? 網が勝手に動いてるぞ!」


漁師は慌てて網を押さえ込もうとするが、妖精は悪戯心でさらに網を揺らし、漁師は足を滑らせて倒れそうになった。


「わああ! 助けてくれ!」


大混乱の中、漁師は網に絡まってしまい、他の漁師たちが駆け寄ってきた。だが、妖精はすでに別の場所に移動しており、彼の姿は誰にも見えない。


「一体どうなってるんだ! 網が勝手に動くわけがない!」


周りの漁師たちも混乱しながら、倉庫街は少しずつ騒がしくなっていった。


「ふふふ、楽しい! これで今日は十分かな!」


妖精は風に乗って、再び高く舞い上がり、倉庫街の上をふわふわと漂った。次の目的地がどこになるのか、彼自身もわからないが、このいたずらの連続が彼にとって何よりも楽しい。


「次はどこに行こうかな……?」


そんなことを考えながら、妖精は新たな冒険を期待して空を漂い続けた。次に巻き起こる騒動は、どこで始まるのだろうか。

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