第14話

 唐突に叔父さんは暴走を始め、私はニトリの中を連れまわされることとなった。「すみません、あと、ソファと勉強机と棚がほしいんですが、このベッドに似合うものを選んでいただけますか?」

「かしこまりました。お嬢様はおいくつでしょうか」

「お姫様はこの子です」

 隣に立っている私を見て、店員は少しばかりフリーズしていた。きっともっと小さくて可愛らしい女の子の部屋なのだと思ったのだろう。

「15、です」

「15歳ですか。でしたら、もっとモノトーンな雰囲気な家具でもよろしいかと思いますが、いかがでしょうか」

 部屋の家具なんてそろえたことがないし、いつも家に置かれていたのはセール品や中古品ばかりだったため、家具というものに興味がない。雰囲気をそろえるより、安い物でそろえるのが家の常だったから。

「べつに、普通で」

「できれば、白とピンクでお願いします。お姫様みたいな部屋にしたいので」

「私子供じゃないし」

 パーカーのポケットに手を突っ込んで、ぐちぐちと私がそう言っても、叔父さんは止まらなかった。

「じゃあ、ピンクをやめて、白が基調で、水色とかが差し色に入ったお姫様っぽいやつください」

 でも正直私はこれをはっきりと止める気にならなかった。理由は簡単で少しばかりそういう部屋に興味があったから。

 ニトリの店の中をとにかく回って、小物も買ったし、カーテンも買った。照明も買ったし、部屋の中に置く最低限のものを叔父さんは買った。

「叔父さん、ミニマリストじゃないの」

「どうして?」

「家の中がすごくスッキリしてて、無駄なものが置かれてないから」

「なるようになったって感じかな」

 買ったものはすべて送ってもらうこととなり、会計をしている途中で私は目に入ったサボテンを手に取って、しばらく考えた末、叔父さんに渡した。何も言わずにそれも会計をしてくれた。ただ少し顔は嬉しそうだった。

 お会計の数字はケタが大きすぎて見なかったことにした。叔父さんが勝手に買っただけだし。私は500円のサボテンしか買っていない。

「おかね、大丈夫なんですか」

「叔父さん投資してるし、お金はあるほうだから全然大丈夫だよ」

 なぜか私よりもすっきりとした顔をしていて、なんだか何も言えなくなった。

 

 

 

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