第6話

 叔父さんの家は信じられないぐらい高いタワーマンションだった。何階まであるのかは全く分からないほど高かった。叔父さん曰く、このタワーマンションの三階に住んでいるらしい。その言葉を聞いて私は少しだけ安堵した。

 思ったよりタワマンのエントランスに着くまでに時間がかかった。交通道路から円形になった階段を上って行かなければいけなかった。呼吸を少し切らしながら、やっと自動ドアの前までやってきた。

 左右には木々が植えられている。叔父さんは1枚目の自動ドアを抜けると、カバンの中からカードを取り出して、ピッとすると自動ドアが開いた。

 中に入ると天井の高いエントランスがあり、右側にコンシェルジュが居て、ソファが置かれていたりと、休めるスペースがある。

 高級ホテルにでも来てしまった気がした。高級ホテルの方がまだましかもしれない。こんなところに毎日帰ってくるなんて気疲れしてしまう。

「叔父さん、何の仕事してるんですか?」

「お店の経営みたいな感じ」

 はっきりと叔父さんはそう言った。

「何のお店やってるんですか」

「飲食店系かな」

「そうなんですね」

 お店を経営していると、こんなにお金持ちになるとはしらなかった。それに叔父さんがお店を経営していることも知らなかった。

 今まで知らなかったけど、私の叔父は結構すごい人だったのかもしれない。

 エレベーターの中も私が知っている物と違った。私は今までエレベーターのボタンを三階までしか見たことが無かったけれど、このエレベーターには階数のボタンが42階まである。

 叔父さんは3階のボタンを押して、扉を閉めた。

「こんなにたくさんボタンがあるエレベーターに初めて乗りました」

「田舎じゃ、イオンとかでしか乗らないからね」

 イオンと言う単語を聞いて叔父さんも私と同じ出身だと思わされる。

「このタワマンは、読書スペースとか、ジムとか、ワークスペースとかがあるから、色々使えると思うよ」

「凄いですね」

 そんな二言ぐらいの会話で3階に着いた。3階に着くと、本当にそこはホテルの廊下の様だった。

 全くの迷いもなくすたすたと歩いていく叔父さんの背中を追いかけるように私は歩いて行った。

 長い廊下を歩いて着いたのは黒色の扉の玄関。またカードで鍵を開けると、外開きの扉を開けて、私に先に入るように促した。困惑したままで中に入ると、白と木目のよく見るような家だった。

 玄関には一足も靴が置かれておらず、見学会をしに来た家のように掃除が行き届いている。靴を脱いで荷物を持ったまま左に折れる廊下を曲がった。

「一番奥の扉がリビングだから」

 廊下を歩いて、一番奥の扉を開けると、大きな窓が大きなカーテンで隠されていた。それにとても広く二人ぐらい寝転がれそうな大きなソファと、壁一面埋め尽くされた本棚、テーブルとイスとすぐ横のキッチンは広々としていた。

 こういうところに来たことがないために、とりあえず床に荷物を置いて、ソファの端にちょこんと座った。

 まさか私がこんなところに住むことになるなんて全く思っていなかった。

 私はこれからどうなるのだろうか

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