開始20秒で即死するクソゲー世界に転生した俺は無限ループから抜けられません。
蜂乃巣
第1話 異世界...転生?!
「はぁ...。」
ため息すらも響き渡る様な人通りの少ない路地を1人で歩く。
もしも、神様という存在がいるのだとしたら、俺を嘲笑ってでもいるのだろうか?
そんな自虐混ざりの事を考えては、周りを見渡す。
この畑だらけの田舎で産まれた俺『秋早悠真(18歳)』は、無性に浸りたい気分に陥り、近くの河原へと足を運ぶ。
「ふぇー。」
俺には今、悩んでいることがある。
まぁ、悩みといっても考えれば考えるだけ、沢山ある...。
進路だったり、友人関係だったり...。
だが、俺の今世紀1番の悩みは、そんな事ではない。
俺の現在最大の悩み。
それは...!
「あー、マジで彼女欲しいわぁー!!」
ポチャンポチャン
という石切り音を響かせながら、石が川の上を跳ねていくのを見守りながら、雄叫びの様にそう叫ぶ。
「えー?マジで、何で女子があんなガキ共しかいない訳?女子、少なすぎだって。このクソ田舎。」
日頃の鬱憤を、ブツブツと川に向かって呟く俺。
正直、俺から見てもキモいし、ダサいし、臭いし...いや臭くはないか。
うん...臭くはないはずだ。
自分の容姿に余り自信は持っていないが、こんなクソ田舎じゃなければ、彼女の2.3人居たっておかしくないはずだ。
おかしくないはずなんだ!!
「クソッ...。はぁー、まじで彼女のイチャラブデートとかしてみてぇわ!マジで!!」
川に向かって叫んでやるが、返答は帰ってこない。
まぁ、もしも神様なんてものが存在したとしても、こんなクソ異常者に、神のご加護を恵んでくださるとは思えないが。
「はぁ...!まぁ良いけどさ?!良いんですけどね??」
体育座りをしながら、その両足の膝の上に顔を置き、目を閉じる。
神様?もしも、もしも貴方が存在するのなら、こんな愚かな私に天のお恵みを!!
目を開けたら異世界に居ますように!
居ますように!
そんな願いを何度も繰り返し唱える。
「まっ、ないよなぁ。」
数十秒して、目を開けるとそこは、変わらない...え?
建物?!
川は?木は?!
「は....は?!」
ヤバい。
これはあれか?!
フラグか?!
俺のさっきまでの行動全部がフラグだったのか?!
え?いや、マジで?!
いやいやいや、違うって!!
異世界転生とか、マジのマジでは望んでないから!!
半分ネタだったんですけど!!
「え?貴方、どこから?!」
中世風の建物と建物の間。
金髪の髪に、整った容姿、そして鈴の音のような声。
何だ?!
この美少女は?!
「えー、えーと、ここってどこですか?」
「避け...!」
「ア...。」
彼女の驚いた顔。
その驚いた顔が視界に映った瞬間。
俺の視界は黒に染まった。
開始20秒で即死するクソゲー世界に転生した俺は無限ループから抜けられません。 蜂乃巣 @Hatinosu3268
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