第五話 日誌
「私も行く!」
「ちょっとルートを確認してくるだけだと言ってるだろう。大人しく待っていてくれ……」
「カリナ!リカルドが魔物の群れを見つけたから倒しに行くって聞かなくて!こっち手伝ってくれない?」
翌日、森の探索に着いてくると言って聞かないカリナに困り果てていた所へレイチェルがそう声をかけてきた。俺達に軽くウィンクをして走り去って行く様子に、どうやら上手く嘘をついて助け船を出してくれたらしいことが分かった。「すぐに行く」と彼女の方へ走り去るカリナを見送り、足早に城を出た。
「ここだよ」
「確かに。よく手入れされているな……」
「ジョセフ!これを見て……!」
「手紙か?」
ノエルが持って来たのは矢に括り付けられた紙の束だった。見える面に「小さな剣士さんとそのお仲間さんへ」と書かれていたことと特徴的な矢羽からモニカが俺達に宛てたものだと分かった。紙の束を外し中を見てみると、今直面している食料についての情報が書かれていた。
ーー貴方達の荷物の量から推測したのだけど、そろそろ食料や物資にお困りかと思って。こちらで人間が食べられるものをまとめておくわ。それと、ここの薬草を摘んだことには目を瞑っておくわね。
ゴブベリー:黒っぽいコブの付いたべリ
ー。ツヤツヤのデスベリーと間違えない
でね。
マイマイカボチャ:マイマイに似たカボ
チャ。見た目は悪いけれど味は補償する
わ。
妖精草:桃や水色の淡い色の葉。火を通
すと甘くて美味しいわよ。
アメーバビーンズ:鞘の中の粘液を取り
除けば美味しく食べられるわ。
ウルフ肉:ウェアウルフを倒せば獲れる
わ。少し臭いから薬草で匂いを消して。
トロール肉:トロールストレングスを倒
せば獲れるわ。少し骨が折れるけどね。
ギャング肉:湖にいるイールギャングか
ら獲れるお肉。釣りがおすすめよ。
サンダ麦:雷みたいに尖った紫の葉が特
徴の麦。他の麦は食べられないから気を
付けて。
私は裏側の様子も見て来るから、もし一週間後、貴方達がまだ生きていればお城の広間で会いましょう。武運を祈っているわーー
手紙の最後には、一週間後の再会を約束するという文章が書かれていた。今日会えなかったのは残念だが、与えられた時間で再度連携の構築や情報収集などできることをしておこう。
「もう!リーダー!どうして置いて行くのよ!」
「悪かった。食料の情報が必要だったんだ」
「それで?情報は見つかったの?」
レイチェルにまんまと騙され、リーダーに置いて行かれてしまった私は彼を問い詰めていた。求めていた情報は得られたらしく正直に答えてくれた彼によれば、昨日の薬草畑はモニカのものだったようで、その近くの木に留められていた矢文から食料についての情報と一週間後に会おうという文章が書かれていたそうだ。そして一週間の間、彼女の情報を頼りに食料を集めつつ連携を深めたり新たな情報を探したりしよう、と提案がされた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます