友とする者たちよ

ももいくれあ

第1話

私たちは、なぜかこうして今、共に過ごしている。

一緒に食事を囲むわけでもなく、

ただ、昼すぎ頃に淹れるワタシの珈琲だけは、

それそれが、それぞれの場所で

ホットのブラック、アイスのカフェオレ、アイスのブラック。

美味しいと言って飲んで飲んでいる。

こんな生活が始まったのはとても急で、ワタシはココロとカラダは追いつかず、

発作を起こすこともあった。

受け入れざるを得ない現実にも唯一の救いは、空間が広い事だった。

ただ、部屋と部屋が繋がっていたりと、少し変わった作りの為、

結局あまり個。が確保されにくい。

今日も聞こえてくる口笛を遮るには二階に逃げ込むしかなかった。

部屋をまたいでも聞こえてくる。

リフレインする。口笛。

ワタシが選んだはずだった、この生活。

誰かがいる。見慣れない誰かがいるこの空間。

歩こう。

そう思った。

もともと歩くことは好きだった。

部屋の中も万歩計をつけて歩くと気分が違う。

毎日に少し潤いがでてくる。

階段の上り下りだって、苦じゃない。はず。

そう、一歩、一歩、カウントされる。

今日は何歩、歩けたかな。

それが、ワタシの潤いになるのだから。

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