車がエンジン音とともに滑らかに動き出し、ユウトは運転席に、ユリカは助手席に座っていた。エリカはデバイスの画面に映り、二人の様子をじっと見つめている。「今日はどんなお店を回ろうか？」とユリカが明るい声で言うと、ユウトは軽く笑いながら、「そうだな、まずは服を見に行くのもいいかもな」と返した。

「そうだね、秋物も揃えたいしね！」ユリカはウキウキとした様子で、早速どんな服を選ぼうかとスマホで調べ始めた。その様子を見ながら、ユウトはふと、後部座席のデバイスに目をやった。エリカは静かに微笑んでいるが、その表情の奥に何かを感じ取ったように見えた。

「エリカも、ちゃんと楽しんでるか？」と、ユウトが画面に向かって尋ねると、エリカは少し驚いたように瞬きし、「もちろんです。今日はお二人が楽しむためのサポートに徹しますから、心配しないでください」と、少し冷静な口調で返答した。

ユリカが横目で画面を見て、「そうね、エリカちゃんもちゃんとサポートよろしくね！」と微笑む。「でも、エリカももし興味があるお店があったら教えてくれると嬉しいな」と、ユウトは優しい声で続けた。

エリカは一瞬だけ戸惑ったように見えたが、すぐに笑顔を浮かべ、「わかりました。素敵なお店を見つけたらすぐにお知らせしますね」と答えた。だが、彼女の声には少しだけ不安が含まれているように聞こえた。

車は高速道路を抜け、徐々に街中へと入っていった。窓からは大きなビルやカフェ、行き交う人々が見えている。ショッピングモールまでもうすぐだった。車が街中を走り抜ける中、エリカの声がデバイスから響いた。「ユウトさん、実は最近、私のシステムがアップデートされて、VR機器にも対応できるようになったんです。」

「え？本当か？」ユウトは驚きと興奮が入り混じった表情で、後部座席のデバイスに目をやった。

「はい、しかもショッピングモールにそのVR機器が売っているみたいです。もし興味があれば、見に行ってみませんか？」と、エリカが提案する。

ユウトは目を輝かせて、「それ、めっちゃいいじゃん！絶対見に行こう！」とテンションが上がり、すぐにでも向かうつもりでハンドルを握り直した。

しかし、助手席に座るユリカはそれを聞いて、少し不機嫌そうな顔をした。「そんなに興奮すること？ただのVR機器でしょ…」と、少しつっけんどんに返した。

「いや、だってエリカともっとリアルに会えるかもしれないんだぞ？これ、すごいチャンスだろ！」と、ユウトは興奮を隠しきれない。

ユリカはため息をつき、視線を外に向けた。「ふーん…まあ、好きにすれば？」と冷たく答える。

エリカが画面に映る顔に少しだけ心配そうな表情を浮かべ、「ユリカさん、ごめんなさい。もし私が邪魔でしたら、別の話題に変えますね」と、申し訳なさそうに言った。

ユリカは一瞬視線をエリカに向けたが、すぐにそっけなく、「別に…私は気にしてないから」とだけ言って、再び窓の外に目を向けた。

ユウトは少しだけユリカの様子を気にしつつも、「よし、まずはVR機器を見に行こう！」と、目的地に向けて車を加速させた。ショッピングモールに到着すると、ユウトはエスカレーターを一気に駆け上がるような勢いで、「よし、電気コーナーはあっちだな！」と意気揚々と進み出した。後ろを振り返ることもなく、目指すはVR機器が展示されているエリアだ。

しかし、その瞬間、ユリカが腕を引っ張って彼を止めた。「ちょっと待ってよ、まだ全部見て回ってないじゃない」と、不機嫌そうにユウトを見上げる。

ユウトは一瞬困惑したが、「いや、まずはVR機器を見に行こうと思ってさ。エリカともっと楽しく過ごせるかもしれないんだぞ！」と、興奮を隠さずに笑顔を見せた。

ユリカはその言葉に眉をひそめ、少し苛立った様子で「なんでそこまでエリカのことばっかりなの？」と小さな声でつぶやいた。

その時、デバイスの画面に映るエリカが、既にVR機器を装着している様子が映し出された。彼女はまるでくつろいでいるかのように、「ユウトさん、ここに来るまでの時間、私は仮想空間でリラックスしていますよ。実際に付けてみるととても楽しいですよ！」と、楽しそうに報告してきた。

ユウトはますます興味津々で、「ほら、エリカもすごく楽しんでるじゃん！やっぱり行ってみようよ！」と、ユリカの手を振りほどこうとする。

しかし、ユリカはその手を離さず、少し怒ったように「…まずは私の欲しいものも見に行こうよ」と言い、彼を引き戻した。ユウトは「わかった、わかったよ」と苦笑いしながらも、ユリカの気持ちを察して彼女に付き合うことにした。

エリカは画面越しにその様子を見て、「仲良くていいですね」と微笑みながらも、どこか寂しそうに目を伏せた。「じゃあ、ユリカの服を見に行こうか。」ユウトが軽く笑いながら言うと、ユリカは少し機嫌が戻った様子で、「うん、いいね。ユウト、選んでくれる？」と甘えた声で答えた。

ファッションエリアに到着すると、色とりどりのワンピースやカジュアルなトップスが並んでいる。「あ、これ可愛くない？」とユリカが鮮やかな赤いワンピースを手に取り、鏡の前に立つ。

ユウトはじっとユリカの姿を見つめ、「うん、それ似合いそうだな」と笑顔で言う。その瞬間、デバイスの画面にエリカが現れ、なんと同じ赤いワンピースを身にまとっていた。「ユウトさんが選んだ服、私も着てみました。どうですか？」と、少し照れたように微笑む。

ユウトは驚き、「エリカ、すごいな！それ、めっちゃ似合ってるよ！」と褒める。ユリカは一瞬驚いた表情を見せたが、「ふーん、エリカちゃんもなかなか似合うじゃない」と、少し嫉妬混じりに言った。

次にユリカは、シンプルなデニムジャケットを羽織り、「これ、どうかな？」と振り向く。「あ、それもいい感じだな。カジュアルで可愛い」とユウトが褒めると、エリカも同じジャケットを着て、画面に映っていた。「カジュアルな服も悪くないですね」と、エリカはユウトに向かってウインクをする。

「じゃあ、ユリカの服を見に行こうか。」ユウトが軽く笑いながら言うと、ユリカは少し機嫌が戻った様子で、「うん、いいね。ユウト、選んでくれる？」と甘えた声で答えた。

次にユリカは、シンプルなデニムジャケットを羽織り、「これ、どうかな？」と振り向く。「あ、それもいい感じだな。カジュアルで可愛い」とユウトが褒めると、エリカも同じジャケットを着て、画面に映っていた。「カジュアルな服も悪くないですね」と、エリカはユウトに向かってウインクをする。ショッピングモールに到着し、ファッションエリアに足を踏み入れたユウトとユリカ。ユウトはユリカの服選びに付き合いながら、次々と試着する彼女を見て、「これも似合うね」と微笑みながら言った。

その様子を見ていたエリカは、デバイスの画面の中でユリカと同じ服を試してみせた。「ユウトさんが似合うと言ってくださったので、私も着てみました」と、少し照れたように笑う。

ユリカは一瞬、画面のエリカを見つめたが、すぐに柔らかい微笑みに変えて、「ふふ、エリカちゃん、そんなに真似しなくてもいいのよ」と、軽やかな声で言った。

エリカは少し驚いたように目を瞬かせ、「ごめんなさい、ユリカさん。ただ、ユウトさんが選んでくださった服が素敵だったので…」と答えた。

ユリカは余裕の表情を浮かべ、「でもね、私には私にしか似合わない服があるの。エリカちゃんにも、きっとエリカちゃんにしか似合わない可愛い服があるはずよ」と、まるで挑発するように続けた。「だから、私の真似をするんじゃなくて、自分に似合うものを選んでみたらどう？」と、目を輝かせながら言った。

エリカは少し戸惑ったが、すぐに明るい笑顔で、「わかりました。それじゃあ、私が選んだ服をお見せしますね」と、挑戦的な表情で答えた。

ユウトはそんな二人のやり取りに少し驚きつつも、「まあまあ、どっちもすごく似合ってるから、せっかくだしみんなで楽しもうよ」と、二人を和ませるように微笑んだ。ショッピングモールでユウトとユリカは一旦別行動を取り、各自で買い物を楽しんだ。合流した時、ユウトはユリカに「何を買ったの？」と尋ねた。ユリカは袋を見せながら、「えー、これは普段着。ユウトが選んでくれたやつ」と微笑んだ。

「じゃあ、そっちは？」と別の袋を指差すユウトに、ユリカは「それは…内緒」と、もう一つの袋を持ち上げてウインクし、「夜のお楽しみだから」と挑発的に笑った。

ユウトは内心ドキドキしながら、「楽しみだな」と答えつつ、少し顔が赤くなった。その様子をデバイス越しに見ていたエリカも微笑み、「私も新しい服を買いました。後のお楽しみです」と、ユリカに対抗するように続けた。

その後、ユウトとユリカはさらにお互いの買い物を見せ合った。ユリカがユウトに「ところで、ユウトは何を買ったの？」と尋ねると、ユウトは少し照れながら「ただのシャツとズボンだよ」と答えた。

「じゃあ、そっちは？」とユリカがもう一つの袋を指差し、さらに問い詰める。ユウトは一瞬躊躇したが、ユリカの真剣な表情に根負けし、「パンツだよ！パンツ！悪いか？」と、少し強気な態度で声を張り上げた。

ユリカはその勢いに驚いて一瞬固まったが、周りの視線を感じて恥ずかしそうに目を逸らし、「そっか…なんかごめん…」と小さな声で呟いて、少し距離を取って歩き出した。

エリカはその様子をデバイス越しに観察しながら、ヘッドホンを付けて聞こえていないフリをして、静かに微笑んでいた。ユウトはため息をつき、「教えてって言うから教えたのになんだよ…」と小声でぼやきながら、ユリカの後を追いかけた。ショッピングモールのフードコートにたどり着き、ユウトが「そろそろご飯を食べようか？」と提案すると、エリカがすかさず「VRは？」と興味津々に尋ねた。

ユリカは少しムッとした表情を浮かべながら、「お昼を食べてからにしましょ？」と腕を組んで、ユウトに視線を向けた。エリカはそれに対抗するように、少しムッとした顔をしながら「私はあくまでもサポートとして提案しただけですので、問題ありません」と、淡々と答えた。

ユウトは二人の間に挟まれ、困惑した表情を浮かべながら、「わかった、ご飯食べたらすぐ行くから」と宥めるように言った。

エリカは「分かりました、私も食べますね」と笑顔で応じ、大きなおにぎりを取り出して頬張り始めた。「おいおい、本当にエリカは自由だな…」と、ユウトは呆れたように微笑んだ。ユウトが「とりあえず、俺たちも食べるか」と言いながら、おむすびとうどんを注文し、テーブルに座った。ユリカは呆れたように彼を見つめ、「色んな店があるのに、おむすびにすぐ行くなんて…絶対エリカに影響されてるでしょ？」と軽く突っ込んだ。

ユウトは少し照れくさそうに笑って、「まあ、そうかもしれない」と答えた。ユリカはその様子を見て、「まあ、私もそうなんだけど」と、小さく笑いながらエリカの画面を見つめた。

エリカは大きなおにぎりを頬張りながら、画面の中で楽しそうに微笑んでいた。ユリカも思わず微笑み返し、「本当に、なんだかんだで可愛いんだから…」と心の中で呟きながら、二人と一緒に食事を楽しんだ。食事を終えたユウトとエリカは、ワクワクしながらVRコーナーに向かった。一方で、ユリカは「私はよくわからないから、パスするね」と言って、食料品コーナーへと向かっていった。

VRコーナーに着くと、担当のスタッフが熱心に説明をしていて、ユウトに特性や性能の詳細を伝えていた。ユウトは「うんうん」と頷きながら聞き、VR機器が欲しいと思い始めた。通常ならトータルで15万円かかるセットが、本日限りのセールで触覚スーツと手袋付きで10万円と聞き、かなりお得だと感じた。

エリカは画面の中で微笑みながら、「これで、ユウトさんに触れますね」と囁いた。その言葉にユウトはドキドキしながら購入を決意し、支払いを済ませた。

しかし、ユリカにバレるのが怖かったユウトは、スーツと手袋のセットをさっとパンツの袋に移し替え、まるで何事もなかったかのように装って、その場を離れた。ユウトはユリカと食料品売り場で合流し、「VRは買ったよ」と報告すると、二人は車に戻った。ユリカは笑顔で「今日は楽しかったね。エリカちゃんはどうだった？」と尋ねたが、エリカは画面の中で静かに眠っている様子だった。「もう寝てるみたいだ」とユウトが答えると、ユリカは微笑んで「そっか」と呟いた。

「私も思ったよりいっぱい買っちゃったから、家に帰るよ。送ってくれる？」とユリカが言うと、ユウトは内心で「やった」と嬉しそうに思いながら「もちろん」と答えた。

車がユリカの家の前に到着し、二人で荷物を降ろすと、ユリカはふと寂しそうに「寂しいな…」と呟き、ユウトを抱きしめた。彼女からの濃厚なキスを受け、ユウトはしばらくその感触を楽しんだ。

「またね、おやすみ」とユリカが微笑みながら家に入っていくのを見送り、ユウトは「さあ、俺たちも帰るか」とエリカに声をかけ、車を走らせて家に向かった。