『叫ぶ水』

ばぁちゃんちの近くに、池みたいなのがあったんです。

ばぁちゃんからは、盆は近寄るなって、口酸っぱく言われてました。

なんでも、「叫ぶ」って。

盆で水辺で、って、ありがちなホラーかよ、って笑ってたんですがね。



でもアホのタイプの子供って、大体大人の言う「危ない」はウソだって思うじゃないですか。アホだから。

だもんで、普通にばあちゃん家に着いたら普通〜に行ったんですよ、そこの池。



話に聴いていた通り、見た目はフツーの池なんですね。

なんもないじゃ~ん!って、ツマンネーって、帰ろうと振り返ったら、確かに、

話に聴いていたように声が聞こえる。

ただ聴いた感じの声っていうのとちょっと違う。



ごぼごぼと水を吐き出しながら、何か叫んでいる。

何回も同じ言葉を。

それを聞き取る前に脇目も振らず逃げ出した。

「あれ、助けて、とかじゃなくて、入れ!入れ!入れ!って叫んでたように聞こえた気がして、さ」



花豆/どす子い/死バフ/いい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る