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「つまんないの。」


僕は今日も、勉強が終わると森の中で、空を飛ぶ鳥達を描いてる。


「…いいな、鳥になりたい。」


大人になりたい。の次は、鳥に憧れた。


「羽があったら良いのに。」


羽が欲しいとなげく。無い物ねだりばかりの僕は、欲が尽きる事を知らないみたい。


「先生は外から来たんですよね?外はどんな所ですか?」


英語の先生が訪問。


「そうね〜、危険がいっぱい。かしら?貴方のお父様とお母様の言ってる事は事実なのよ?」


家庭教師を含めみんな、口をそろえ言うんだ、僕の両親は正しいって。


「先生は怖くないの?危険な外を通るんでしょ?」


「大人になれば分かるわ。兎白とはく坊ちゃんはまだ12歳だから。今は何も知らなくて良いのよ。」


みーんな、外の世界を教えてはくれない。


英語が話せたって、数字に強くなったって、僕は何も嬉しくなかった。ただ友達が欲しくて、そればかりを月に願う日々。


小鳥のさえずりに目が覚め、カーテンの隙間から入る太陽の光に目を細めた。


「今日は太陽にお願いしてみようかな。」

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