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「…意味分かんない。父さんと母さんばかりずるいよ!危険でも、それでも僕は、外に行ってみたいのに。本で読んだもん、外には沢山の人が居て、友達とか出来るんだよ。僕だって友達欲しいよ…。」


そう言って僕は、ご飯をほとんど残したまま席を立つ。


「結局父さんと母さんは、色んな理由を付けては僕を閉じ込めたいだけなんだ!」


この時の僕には、2人の気持ちなど理解出来ず、言いたい放題ぶちまけてしまったんだ。


「…早く大人になりたい。」


夜空を見つめ、僕はつぶやいたんだ。


大人には自由がある気がして、僕だけが窮屈きゅうくつな思いをしてるように感じた。


「…友達欲しいな。」


真夏の夜空を照らす綺麗なお月様に向かい願った。


「お月様、どうかお願いです。僕に友達をください。僕の気持ちを分かってくれる、大人な友達が欲しいです。」


毎晩祈っていた。


大人の友達ならば、外を教えてくれるかもしれないと思ったんだ。そして僕を外に連れ出してくれるかもと期待してる。


けれども、物語じゃあるまいし、僕を連れ出してくれる友達が現れる事はなかった。

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