第12話

そして広い和室の客間に到着し、中へ入ると部屋にはすでに親父と部下達が待機していて、全員自分の席に着いていた。



俺と相馬も静かに移動して、そこに座る。





「遅い」


「……」


「何故さっさと来ない。

まさか寝ていた訳では無いだろう?」





俺たちが座ると同時に、隣にいた親父が眉を寄せ怪訝な顔でそう口を開く。



嫌味を含んだ言い方に多少不愉快さはあったが、俺は眉ひとつ動かすことなく返事をした。






「一服してただけだ。…時間には遅れてない」


「フン……口だけは達者だな」






親父は視線だけこちらに向けてそう言うと、切り替えるように息を吐き、続けて静かに口を開く。






「相手側も間もなく到着する。

お前も心の準備をしておけ」

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