第6話
絶対に越えられない、大きな壁。
まだ小さかった俺にとって、家は頑丈な要塞のようだった。
誰とも交流を持たず、外の世界から遮断された世界で俺はいつも1人だった。
───あいつが現れるまでは。
『おいおまえ、そこでなにしてる?』
『!』
『ひとのいえをのぞくなんて、
いいどきょうしてるな』
妙な出会いではあったと思う。
あの時あの子供が中を覗いていなければ、偶然俺が庭を散歩していなければ、きっと出会っていなかった。
……今考えても、運命のように思う。
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