第5話
普通の家にこんな広い庭はない。
こんなでかい屋敷もない。
人目を気にすることなく、誰に会ってもどこに出掛けても良い。
いつだって自由に生活できる。
……そんな生活がどれほど貴重で輝いたものなのか。きっと人は誰も知らない。
俺にとってそれがどんなに羨ましいことだったか、知る由もない。
『いいか、幸二朗。
これから私が言うことを忘れずに守れ』
『……』
『私が帰るまで決してこの敷地の外へは出るな。例え外に出たくても庭の中まで、だ。もし怪しい人間を見つけたらすぐに誰かに知らせろ。……良いな?』
『…はい、父さん』
でも、だからこそ。
まだ小さかった俺の目にはこの家が、この庭が、親父が────俺を外の世界に出さんと強く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます