第4話

そう思いながらもどうにか準備を済ませ、この日のために新調された黒いスーツに着替える。



それから縁側に出て、目の前に広がる景色をしばらくの間眺めていた。───その後、ふと想いを巡らせる。






「………」






───……何も無い、無駄な庭。




綺麗に整えられた庭を見て静かにそう思う。




目の前に広がるそれは世間からすれば立派な日本庭園なんだというが、俺は昔からどうも好きになれなかった。





池も、鯉も、石橋だってかかってる。



庭師を雇い綺麗に整えられていて、枯葉の掃除もきちんとされている。





……でも違う。




俺はその”綺麗さ”がずっと嫌いだった。

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