第10話

「俺のものになるか、今ここで全員死ぬか。特別に君が選んでいいよ。」






───最初から私に、選択権など無いのだ。



全てはこれから起こることの前置きに過ぎなくて、ただ私が然るべき未来を選択することだけを見届けるためにみんな集まったのである。





……日下の命を踏み台にして。





唯一私を守ろうとしてくれた日下の命は、組の今後の未来を決めるために犠牲となって消えて、その未来を選択するのは誰でもないこの私だなんて────





「………お願い…」


「ん?」


「…………もう誰も…殺さないで…」






────なんて、残酷なんだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る