第11話
自分の妹でもないのに、無駄だと分かっていても命を掛けて守ろうとしてくれた日下と。
頭として組のために自分の娘を差し出そうとしている父と。
……もうこれ以上犠牲を生みたくなかった私。
誰一人として、報われない。
「───決まりだ」
そう言って目を細めて微笑んだ彼はその場から立ち上がると、そのまま私の方へと歩いてきて目の前で立ち止まる。
それから震える私の体を優しく抱き寄せて、ポロポロと流れ落ちる涙を指で拭いながらうっとりと微笑みを甘くすると、
「あぁ、もう逃がさないよ」
そう言って耳元に小さくキスをした。
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