第7話 誓い
※ロイス王子視点の過去話です。
----------------------------------------------------------
「王城に侵入者あり!」
「なにィ!」
伝令が走り、城内は騒然となった。
「あわてるな! 衛兵は守りを固めろ!」
ロイス王子は素早く指示を出した。
「侵入者はどこへ向かっているのだ?」
「はっ、玉座の間かと思われます」
「そういうことか! 父上!」
ロイスは玉座の間に急いだ。
扉は開いており、玉座には銀色のスーツを身に着けたユリコーンたちが詰めかけていた。
「あたしらの
「この落とし前はどうつけてくれんだよ、オッサン?」
「生体端末破壊しやがって、あれ作るのにマナがどんだけ必要だと思ってんだ!」
王はユリコーンに囲まれてブルブル震えていた。
「なんとか言えよ、オッサン! その口は飾りかよ!」
「それともなにか? 国ごと更地にしてほしいってか?」
「狼藉ものが! 父上から離れろーーっ!」
ロイスは抜剣してユリコーンに突っ込んでいった。
「ガキはひっこんでな!」
「ぐはっ!」
ユリコーンの蹴りがさく裂し、ロイスは吹っ飛ばされた。
「ぐぐっ……貴様ら!」
「で、どうするよ、オッサン?」
「き、君たちの要求は何だ?」
「そんなの決まってんじゃん。あたしたちの
「わ、わかった。君たちの要求を飲もう」
「捕らえた
「す、すぐに伝令を出す」
「約束だぞ。もし約束を違えたそのときは、国ごと焼き払ってやっかんな!」
「約束は必ず守る。王の名に誓って」
「じゃあな、オッサン、邪魔したな」
「次はねーからな、オッサン」
「あたしらの慈悲に感謝しなよ!」
ユリコーンたちは、襲ってきたときと同様に、引き上げるのも一瞬だった。
お腹を押さえて立ち上がったロイスは、ヨロヨロと王のところへ歩いて行った。
「父上! なぜテロリストどもの要求を飲んだのですか!」
「……」
「シレジアの誇りはどこへ行ったのですか? 弱みを見せれば、やつらの要求はエスカレートするばかりです。今こそ強固な意志を示さねばならない時だというのに!」
「ロイス、時には柔軟な対応も必要なのだ」
「父上! そんな弱腰だから、敵に舐められるのです!」
「強硬に出て敵うような相手ではないのだよ……」
やさしき王と言われた父親はただの腑抜けだった。ロイス王子は父親に三下半を突き付けた。
「もういい! 俺は俺で勝手にやらせてもらう! 父上だろうと俺の邪魔はさせません!」
ユリコーンを調べていたロイスは、奴らが100年前に忽然と現れたことを知った。
「まるで何もないところから湧き出たかのようだ。実に不自然だ。奴らはいったい何者なのだ?」
その答えは身近な人物から得ることができた。
銃を筆頭に数々の発明をした、ロイスのお気に入りにのジゼルからだ。
王子の悩みを聞いたジゼルは、ひとつの可能性を提示した。
「世界というものは一つではなく、多重構造になっていると言われています」
「なんだと!?」
「私たちには認識できませんが、いくつもの世界が並列で存在しているのです」
「そんなばかな!」
「並行した世界の壁を越える者の存在は、けっして有り得ないことではないでしょう」
「つまり、奴らは世界の外から訪れた異分子、侵略者なのだな」
「言葉を変えればそういうことになります」
ロイスはテーブルをトンッと叩いた。
「やはり俺は正しかった! 侵略者に屈するなどありえん! 徹底抗戦あるのみだ!」
ロイス王子はジゼルの手を取った。
「ジゼル、君の
「はい、ロイス王子。なんなりとお申し付けください」
「俺は誓う。シレジアをどんな脅しにも屈しない誇り高き国に変える。俺はシレジアの王になる! そして王の隣に座るのはジゼル、君だ!」
「ロイス王子……」
「俺を支えてくれるか、ジゼル!」
「はい、喜んで!」
「テロリストどもめ、待っているがいい! この世に貴様らの居場所などないということを徹底的にわからせてやる!」
ロイス王子とジゼルは手始めに、王国各地に
-----------------------------------------------------------
※ブチ切れユリコーンは口調もガラも悪くなります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます