第三章 リリットの冒険

プロローグ


 リリット村の畑からは、小さなリリットたちがコロコロと生まれていました。

 琥珀こはく翡翠ひすい須臾しゅゆの三人は、おちびちゃんたちのお世話に大忙しでした。

 三人だけだった小さな村には、今では20人以上のリリットたちであふれています。


 おちびちゃんたちは好奇心旺盛でどこにでも入りたがりました。

 ときどき行方不明になる子もいたりして、そんなときは村のまわりをみんなで捜索しました。

 たいていは遊び疲れて木の洞の中で寝ていたりするのです。

 ホッとしたのもつかのまで、すぐにほかのおちびちゃんが問題をおこします。

 にぎやかで、息をつく暇もないくらいの毎日でした。


 それでも、ときどき何かの拍子に思い出すのです。

瑪瑙めのう、どうしてるかしら」

 と心配そうにつぶやくのはいつも須臾でした。

「やんちゃでわがままであまえんぼう。いつまでもあの子はあんな調子なんでしょうね」

 と言ってクスクス笑うのは翡翠でした。

 琥珀は空を仰いでつぶやきました。

「シルユリもきっと今ごろ、瑪瑙のやんちゃぶりに手をやいてるだろうな」


 青い空を見上げて、流れる雲の下のどこかにいる妹のことに思いをはせるリリット村の三人娘でした。

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