第66話 着飾って夕食を食べていたらエルザさんの旦那様が迎えに来ました

私はカトリナさんに、かわいい黄色いドレスを着せてもらったのだ。

それも、とても高価そうなドレスだった。


「あのカトリナさん。このような高価なドレスは」

「何を仰っていらっしゃるのですか? 貴方様にピッタリのドレスではございませんか?」

「でも」

「このドレスはエルザ様が、わざわざ注文された品なのですよ。あなたが学園に入学されたら貴方様のお母様のエレオノーレ様があなたに送られたであろうドレスを私が贈るとおっしゃって」

カトリナさんは戸惑う私に教えてくれたのだ。


「えっ、こんな高価なものを、エルザさんが?」

「まあ、あなたのお母様とエルザ様は学園時代は本当に仲の良い親友でしたから。あなたの母親代わりのつもりでいらっしゃるんでしょう」

「そうなんですね」

私とコンスやヘレナ、ポピーみたいな感じなんだろうか?

「まあ、それにお二人は従姉妹の関係でしたから。親戚の親友という感じで。だから貴方様は親友の娘でもいらっしゃいますが、血のつながった親戚でもあるんですから、これは喜んでもらってあげてください」

「判りました」

そこまで言われたら私はもらうしかなかった。


そして、カトリナさんに着飾れて薄く化粧までされた私は外に出た。

扉を開けるとそこで待っていたルードが固まってしまったんだけど……

「どうしたの、ルード? やはり変かな」

私が慌てて聞くと、


「いや、そんなことはない。とてもきれいだ」

「えっ?」

ルードに言われて今度は私が固まった。


きれいだなんてルードに初めて言われたような気がする。

私は真っ赤になってしまった。


「どうした? 少し赤いけれど、熱でもあるのか」

そう言ってルードが額に手を伸ばしてこようとしたのを慌てて避ける。

「熱はないわよ。少し暑いだけで」

私は誤魔化した。


「そうか? まあそれなら、あまり待たしてもいけないから、行こうか」

ルードはそう言うと腕を差し伸べてくれたので、私はその腕に軽く掴まった。

そして、ルードにエスコートされてゆっくりと階段を降りたのだ。


ダイニングルームに行くと既に皆揃っていらっしゃった。


「遅くなって申し訳ありません」

私が頭を下げると、

「疲れが溜まっているのよ。気にしなくて良いわ」

大伯母様がなんでもないように言ってくれた。


「まあ、その衣装、着てもらえたんだ」

エルザさんが喜んでいってくれた。


「エルザさん、このような衣装を頂いて本当に有難うございます」

私はエルザさんにお礼を言った。


「何言っているのよ。そんなの当然よ。あなたはエレオノーレの娘なんだから」

エルザさんは当然のように頷いてくれた。


食事の座席はお誕生席に公爵様がその斜め横が大伯母様でルード、その向かいがエルザさん、私の順だった。


私はルードのエスコートで席についた。


公爵家の食事なんて緊張するんだけど、エルザさんとルードとは良く話しているから初めてという感じでもない。

私は少しリラックスが出来た。



最初の前菜からとても美しかった。お皿に飾り付けられているのだ。

食べるのがもったいなかったが、思い切って食べてみた。


皆の手の動きを見ながら真似して食べる。

美味しかった。


具沢山のスープも美味しかったけれど、圧巻は子牛のステーキだった。


私の口の中に入った瞬間、とろけるように溶けてくれたのだ。


私は驚きのあまり固まってしまった。

「美味しい」

思わず呟いていたのだ。

こんな美味しい料理を食べるのは本当に久しぶりだった。


「どうした、クラウ?」

驚いてルードが聞いてきた。


「えっ、どうしたって何が?」

私が聞くと


「涙が出ているぞ」

ルードが教えてくれた。


「まあ、本当! どうしたのクラウちゃん」

エルザさんも心配して私を見てくれた。


「いえ、こんな美味しい食事久しぶりだと思ったら自然に涙が出てしまって」

私が言うと


「ごめんなさいね。クラウちゃん。あなたが辛い時に助けてあげられなくて」

横の席からエルザさんが抱きついてきてくれた。


「エルザさん」

私は思わずエルザさんの胸の中で泣いてしまったのだ。

温かい、こんなに私に温かい人たちがいるんだ。

私はとても嬉しかった。


少し泣いたら、涙も止まった。

私がエルザさんの胸から顔を上げた時だ。


外が急にうるさくなった。


「困ります」

「何が困るんだ。エルザがいるのは判っているのだぞ」

「しかし、エーリック様がいらっしゃっても追い返せと命じられていまして」

「ええい、うるさい! どけ!」

大きな音とともに扉が開いて、そこには正装した立派な男の人が仁王立ちしていたのだ。


「エルザ、迎えに来たぞ」

そこには見目麗しい男の人が仁王立ちになっていたのだ。

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ここまで読んで頂いて有り難うございます

『婚約破棄されたので下剋上することにしました』

https://kakuyomu.jp/works/16818093090691950432


絶好調更新中です。弱小国だけど最強王女が今日も何かやってくれます。

読んでね(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾

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