男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです
第65話 公爵家には挨拶だけのつもりだったのにそのまま週末の逗留が決まってしまいました
第65話 公爵家には挨拶だけのつもりだったのにそのまま週末の逗留が決まってしまいました
私は今まで辛かったことを大叔母様やエルザさんに話して慰められた後、そろそろ暗くなってきたのでお暇しようとした。
「クラウディアさん。明日は土曜日で学園は休みでしょう。今日と明日は我が家で泊まっていきなさい」
と大叔母様に言われたのだ。
「いえ、そんな、滅層もない」
私は断ろうとした。
「何を遠慮しているの。あなたは元々このライゼマン公爵家の人間なんだから、遠慮なんてする必要はないわ」
大叔母様に言われた。
「でも、私のお祖母様は、先代様から勘当されたのでは?」
「何言っているのよ。そんなの口先だけよ。エルザのお義父様に遠慮して大っぴらにはしなかったけれど、男爵家になったおいシュタット家には我が家から毎年援助もしていたのよ。でも、あなた全然もらっていないんでしょ」
「おそらく」
大叔母様に言われても私には判らなかった。私の衣装はメイド服かお古で、まともな衣装なんて無かったし、領地の運営に回されたのかもしれないけれど……
「本当に信じられないわ」
「これもちゃんと見ていなかったオイゲンのせいね」
「それじゃあ衣装もほとんどないんでしょ」
「あら、ルードはクラウディアさんの衣装を作らなかったの?」
大叔母様はルードを見たけれど、
「そんなのこの子に言っても無駄よ。その点はエーリックと一緒でからきしだめなんだから。お父様もそうでしょ」
「いや、母上、私も少しは衣装を揃えましたよ」
「よく言うわ。ルードが用意したのって平民の着る既製品の少し高級なものでしょ」
「まあ、ライゼマン公爵家の者がそれではだめだわ。すぐにドレス工房の者を呼ばないと」
「私の工房のものも呼ぶわ」
「でも、明日すぐに来てくれるかしら」
「私とお母様が呼べばすぐに来るわよ。こなければ他の店にすれば良いんだし」
「それもそうね」
私の意思を無視して、大叔母様達は勝手に決めてくれるんだけど……
「カトリナ。客室にクラウディアさんを案内して。それと私の学生の頃の衣装があるはずだからとりあえず、クラウディアさんに合いそうなのを2、3他の侍女に指示して持ってこさせて」
「判りました」
カトリナと呼ばれた侍女が他の侍女に指示した後、私は断るまもなく客室に案内されたのだ。
その客室はとても広くて立派だった。
真ん中に天蓋付きの高級なベッドまである。
中はトイレや広いお風呂まであって私はびっくりした。
これじゃ完全に王侯貴族だ。
まあ、ここは帝国の公爵家だからオイシュタット男爵家とは比べようもなかったけれど……
部屋を一通り見せてもらったらエルザ様の昔使っていた衣装が届いた。
ちょっと胸のあたりが涼しいんだけど……
なんとか着れるものがあったので、それをカトリナに手伝ってもらって来た。
「ではクラウディア様。食事になったらお迎えに上がりますので、それまでこの部屋でおくつろぎください」
そう言うとカトリナは部屋から出ていったのだ。
一人で部屋に残された私はこの急激な変化に戸惑っていた。
とりあえずくつろぐって何をしたら良いか判らなかったが、ベッドがどんな感じだろうと上に寝転んでみると本当に布団はふかふかだった。
「本当に、夢みたい」
私はそう言うと今日起こったことを思い出していたら、いつの間にか眠っていたみたいだ。
なんか、息が苦しいとハッとして起きると鼻をつままれていた。
「やっと起きたな」
私の眼の前にはルードの整った顔があった。
「ルード!」
私は一瞬真っ赤になった。
ルードに寝顔を見られた事がとても恥ずかしかったのだ。
「えっ、ここは?」
一瞬私はどこにいるか判らなかった。
「ライゼマン公爵家だ」
「あっ」
そうだった。この客間に案内されて、寝てしまったのだ。
私は慌てて飛び起きた。
「ルード坊ちゃま。私が起こすと申し上げましたのに、さっさとお入りになって! 淑女の鼻をつまむなんて、なんということですか?」
その後ろには怒った顔のカトリナさんがいた。
「あっ、あなたルードの侍女のカトリナなの!」
私は思い出した。そう言えば私の家に滞在していた時のルードの侍女がこのカトリナだった。
カトリナにはルードに虐められた時に良く叱ってもらっていたのだ。
「そうですよ。クラウディアお嬢様。良く覚えて頂けていましたね。本当にルード坊ちゃまと来たら相変わらずなんですから。淑女の鼻をつまむとは何事ですか!」
「良いじゃないか。カトリナ。今日は母上とお祖母様に取られてほとんどクラウの相手ができていないんだから」
ルードがすねていってくれた。
「まあまあ、ルード坊ちゃまは昔からクラウディアお嬢様のことが好きですからね」
「えっ?」
私はその言葉に一瞬固まった。
好きってどういうことだろう?
「うん、クラウはからかうと面白いからな」
そうか、やっぱり私はルードのおもちゃなのか?
私はムッとした。
「はいはい、恥ずかしがり屋のルード坊ちゃまは相変わらずですね」
なんか生暖かい目でカトリナさんはルードと私を見てくれるんだけど……
「そんなんじゃないからな」
そう言うルードが少し赤くなっのは気の所為だろうか?
「これからクラウディアお嬢様は少し支度がありますので、坊ちゃまは外でお待ち下さい」
そう言うとカトリナは強引にルードを外に連れ出してくれたのだった。
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