男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです
第55話 トイレ掃除をしていたらメイドさんと知り合いになって喜んで掃除していたら、入ってきた礼儀作法の先生を水魔法で弾き飛ばしてしまいました
第55話 トイレ掃除をしていたらメイドさんと知り合いになって喜んで掃除していたら、入ってきた礼儀作法の先生を水魔法で弾き飛ばしてしまいました
私のその日の礼儀作法の授業は何故か女子トイレ掃除だった。
「えっ、アデライド先生。礼儀作法の補講でトイレ掃除をするんですか?」
私は驚いて聞いていた。
「何を驚いているのです。家によっては嫁の一番最初の仕事がトイレ掃除というのもあるのです」
アデライド先生は真面目に答えてくれるんだけど……
それは私は家ではメイドさせられていたから、トイレ掃除もしていたけれど、普通の貴族家で嫁にトイレ掃除をさせるところがあるって、余程貧しい男爵家ではないだろうか?
「あなたは信じられないという顔をしていますが、皇家がそうなのです」
「えっ、皇家と言うと皇帝陛下のお家ですか?」
私は更に驚いた。
「そうです。現皇太子妃様が皇家に入られた時に、皇后様に最初に命じられたのがトイレ掃除でした」
信じられないことだが、皇宮の礼儀作法指南役もしているアデライド先生が言うのなら間違いないだろう。
皇后様はなかなか厳しいみたいだった。
それに合わせて、下位貴族もそれを真似してさせられる可能性もあるからやっておきなさいとのことだった。
普通は貴族の令嬢ならば嫌がると思うのだが、私は実家のトイレ掃除で慣れていたのにで問題はない。
帝国の学園はトイレは前世日本と同じで水洗だったのだ。これは本当に驚きだった。
なんでも、100年前に転生者がいたそうで、公衆衛生の観点から帝都全体で上下水道の整備が進んだのだとか。
まあ現世でも転生者が恐らく私含めて3人もいるのだ。
この世界と前世は繋がリ易いのかもしれない。
私は普段使われていない校舎の古いトイレの掃除を命じられたのだ。
トイレの中は誰も掃除していないのか、信じられないことに何故か落書きも結構あった。
私は最初はブラシでこすりながら、洗っていたのだが、考えたら水魔法が使えるのだ。
それがうまく使えないかと私は色々とやりだしたのだ。
色々呪文も変えてみて
「スクリューウォーター」
と叫ぶとドリル状に水が吹き出した。
これで水流を強めるとブラシでこすらなくても汚れが取れていくのだ。
「メチャクチャ便利!」
私は喜んでやっていたので、人が入ってくるのに気づかなかったのだ。
「あなた、何やっているの?」
後ろからいきなり声をかけられて私はビクリとした。
振り返ると学園のお仕着せににた制服を来た女の人がいたのだ。
「はい。あのお掃除を」
誰なんだろう? 学園メイドの制服に似ているけれど、微妙に違うし、発しているオーラが何か違う。
私は余計なことを言ってはいけないような気がした。
私がしどろもどろになって答えると、
「ええええ! 学園では今は女生徒がトイレ掃除をしているの?」
その女の人が驚いて聞いてきた。
「いえ、普通はメイドさん達がやって頂けるんですけど、私、アデライド先生の補講でトイレ掃除をさせられているんです」
私は素直に答えた。
「そうなの。アデライドはひどいことさせるのね。今どき生徒にトイレ掃除なんて!」
更に女の人は驚いてくれたんだけど、
「アデライド先生が言われるには、なんでも、皇帝陛下の皇宮では皇子様に嫁いだ妻が最初にトイレ掃除をさせられるそうです」
「そんなのさせられたの1人だけよ。それも皇后陛下とは因縁のある家から嫁いだから一種の嫌がらせだったのよ。今どき、そんなの嫁にさせる家なんてないわよ。そんなのさせたら親元から抗議が行くわよ」
女の人はあっさり否定してくれるんだけど、女の人は雰囲気から言ってお貴族様なのは確定だった。
最初に逆らわなくて良かったと私は思った。
「それよりもあなたがさっきから使っていたその魔術はなんなの?」
女の人は私の魔術に興味を持ってくれた。
「えっ、これですか? スクリューウォーター」
私が叫ぶと勢いよく水が飛び出して地面の汚れが取れていく。
それを水流を高圧にしてどんどんきれいにしているのだ。
「凄いわね。スクリューウォーター」
女の人も真似してくれた。
「もっとい水流を細く絞るんです」
私がアドヴィスすると
「こおう?」
女の人のてから細く絞られた回転する水が勢いよく飛び出して地面の汚れを吹き飛ばしだした。
「これ凄いわね」
「はい! この扉の落書きも取れるんです」
私が勢いよく水をぶっかける。
「本当だ」
女の人も一緒にやってくれた。
私達は喜んで扉に向かってやっていると、いきなり扉が開いたのだ。
「何を騒いでいるの?」
そう叫んでアデライド先生が入ってきたのだ。
「キャーーーー」
しかし、私達の水流がアデライド先生を弾き飛ばしてしまったのだ……
「「えっ!」」
私達は完全に固まってしまった。
先生は廊下にずぶ濡れになって倒れ込んでいた。
「クラウディアさん! これはどういうことですか?」
頭を振って立ち上がったアデライド先生は私と何故かその女の人まで一緒になって怒リ出したのだ。
私達は20分くらい怒られ続けたのだ。
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